エンタープライズ・シンガポールのデータが示す、8月のシンガポール燃料油在庫の横ばい
重要ポイント
- •8月のシンガポールの残渣燃料油在庫は1万バレル増の1,899万バレルとなり、7月からほぼ横ばいだった。
- •中間留分在庫は47万バレル減の819万バレルとなり、7月の水準を平均5%下回った。
- •供給減と調合成分の不足を背景に、VLSFOのリードタイムは9~16日となっている。
- •HSFOのリードタイムは従来の6~12日から8~16日に拡大し、LSMGOも1週間前の4~9日から2~11日に拡大した。
- •シンガポールの在庫・供給データは世界の船用燃料市場の指標として注視されており、IMO規制と2024年のネットゼロGHG枠組みが中長期的な圧力を加えている。

シンガポールの月次石油在庫統計を公表している政府機関、エンタープライズ・シンガポールのデータによると、8月のシンガポールの残渣燃料油在庫は7月からほぼ変わらず横ばいで推移した。
7月から8月にかけてのシンガポールの月平均在庫の変化は以下の通り:
- 残渣燃料油在庫は1万バレル増加し、1,899万バレルとなった。
- 中間留分在庫は47万バレル減少し、819万バレルとなった。
8月のシンガポールの燃料油在庫は1,900万バレルをわずかに下回る水準にとどまった。一方、中間留分在庫は減少し、前月の水準を平均5%下回った。
シンガポールのバンカー供給状況は引き続き逼迫しており、供給減と調合成分の不足を背景に、超低硫黄燃料油(VLSFO)のリードタイムは9~16日となっている。リードタイムの長期化は通常、船舶がより早く燃料を手配する必要があることを意味し、同港に寄港する運航者にとってスケジュール上の負担を増やす可能性がある。
高硫黄燃料油(HSFO)の供給も逼迫しており、リードタイムは従来の6~12日から8~16日に拡大した。近年、HSFO需要は、排気ガス洗浄装置(スクラバー)を搭載した船舶の増加により下支えされてきた。これらの船舶は、IMOの硫黄規制の範囲内でより安価な高硫黄燃料を燃焼させることができる。低硫黄船用軽油(LSMGO)のリードタイムは、1週間前の4~9日から2~11日に拡大している。
シンガポールは世界最大級のバンカーリング拠点の一つであり、その在庫・供給データは世界の船用燃料市場の状況を示す指標として注視されている。今回の供給逼迫は、海運業界が国際海事機関(IMO)の燃料規制への対応を続けるなかで生じている。また、2025年には、2024年11月に発効したネットゼロ温室効果ガス枠組みもあり、船用燃料の需要と調達戦略には中長期的な圧力がかかっている。
出典:By Tuhin Roy, ENGINE,