米雇用統計の強さで利上げ観測が再燃、金が2%急落
重要ポイント
- •米経済は8月に16万2,000人の雇用を追加し、予想の約5万3,000人を大きく上回った。失業率は4.1%で横ばい。
- •金のスポット価格は約2%下落して1オンス4,391.61ドルとなり、銀は1.5%、プラチナは0.6%下落した。
- •9月のFRB利上げ確率は雇用統計後に約50%へ変化し、週初の約70%から低下した。
- •FRBのウォーラー理事は、今後のインフレデータが緩和の継続を確認できれば9月会合での金利据え置きを支持し得ると述べた。
- •来週の8月CPI報告がFRBの政策決定の決め手とみられ、金は4,526ドル付近の200日移動平均近辺でテクニカルな抵抗に直面している。

金は金曜日、予想外に堅調だった米雇用統計を受け、FRBの9月会合での政策決定に対する新たな疑問が浮上したことで、大きな下落圧力に直面した。
雇用統計はFRBが経済の強さを測るために最も注視する指標の一つであり、予想を上回る労働市場の数値は、経済がより引き締められた金融環境を吸収する余地があることを政策担当者に示唆し得る。この動きにより、金利予想に極めて敏感な貴金属は守勢に追い込まれた。
8月の雇用統計では、米経済に16万2,000人の新規雇用が加わり、予測者の想定していた約5万3,000人増を大きく上回った。失業率は4.1%で安定していた。この数字は、2万3,000人の減少を示していた7月の数値から大幅な好転を意味した。
BREAKING: The US economy adds +162,000 jobs in August, well above expectations of +55,000. The unemployment rate was 4.1%, in-line with expectations of 4.1%. July's job number was also revised up by +43,000 jobs and is now positive for the month. The US job market nearly… — The Kobeissi Letter (@KobeissiLetter) September 4, 2026
市場の反応
金のスポット価格は約2%下落し、1オンス4,391.61ドルで推移した。先物契約は0.6%下落して4,514.19ドルとなった。銀は1.5%下落し、プラチナは0.6%下落した。
雇用統計の発表を受け、米ドル指数は0.2%上昇して99.03となった。ドル高は一般に金の価格を圧迫する要因となる。外国通貨の保有者にとって貴金属の購入コストが上昇するためだ。金は世界的にドル建てで取引されており、通貨と金属の逆相関は市場の長年の特徴となっている。
金は木曜日の取引で約2%回復し、3日続いた売りを終えていたが、金曜日の雇用統計の発表によりその上昇分の一部が失われた。
中央銀行の発言と政策予想
FRBのクリストファー・ウォーラー理事は木曜日、今後発表されるインフレ指標が物価上昇の持続的な緩和を確認できれば、9月15〜16日の会合で現行の政策枠組みの維持を主張する用意があると表明した。
ただしウォーラー氏は引き締めの可能性を完全に否定したわけではない。8月のインフレ統計が自身の立場を形成する上で大きな重みを持つと強調し、物価上昇が再加速すれば利上げへの選好が変わる可能性を認めた。
金融市場は迅速に反応した。CME FedWatchツールのデータによると、9月利上げの確率は約50%に低下し、週初に観測されていた約70%から後退した。CME FedWatchツールは、フェドファンド先物市場の価格を追跡し、トレーダーがFRBの各種決定に割り付ける確率を推定するものである。
Fed rate-hike odds for September are now slightly favored, climbing to 52% after the stronger-than-expected jobs report. pic.twitter.com/TGijsM22kk — Wall St Engine (@wallstengine) September 4, 2026
借入コストの低下は一般に金の価格追にとってプラスとなる。金は利回りを生まないため、代替投資のリターンが低下すると魅力が高まる。逆に、利上げ観測が強まると、金を保有する機会費用が上昇する。
貴金属の見通し
来週発表される8月の消費者物価指数(CPI)は、FRBの最終的な政策選択を左右する重要な要因として浮上している。市場関係者は、当局が引き締めを選ぶか金利を据え置くかを判断する上で、雇用統計よりもインフレデータの方が大きな意味を持つ可能性があるとみている。労働省が発表するCPIは消費者物価動向を示す政府の代表的な指標であり、物価安定と最大雇用というFRBのデュアル・マンデートにおける重要な基準点である。
金曜日の雇用統計に反映された賃金の伸びは比較的緩やかにとどまり、金への下支え要因となって追加の売り圧力を防いだ。賃金上昇の緩やかさはFRB当局者にとって重要な意味を持つ。持続的な賃金の伸びは、物価上昇の中でも特に根強い構成要素であるサービスインフレに波及し得るためだ。
IGのシニア市場アナリスト、トニー・サイカモア氏は、金の最近の回復がエネルギー価格や米国債利回りに由来する圧力の低下からも恩恵を受けたと指摘した。同氏は、中東の緊張が最近沈静化したようであり、石油価格の高騰に伴うインフレ懸念が和らいだと述べた。
金は6月末に付けた3,942ドルの安値を上回って推移し続けている。サイカモア氏は、この水準が金の中期的な底を形成したという見方を強化していると指摘した。
貴金属は現在、4,526ドル付近に位置する200日移動平均近辺でテクニカルな抵抗に直面している。200日移動平均は、長期的な上昇トレンドと下降トレンドの境界線としてトレーダーに広く注視されている。この水準を突破できれば短期的な見通しは改善するが、上回り続けられなければ新たな下落が引き起こされる可能性がある。
金が直面する最大の試練は、来週のインフレ統計の発表である。