燃料価格急騰を受け、米国が戦略石油備蓄から最大4,000万バレルの追加緊急放出を命令
重要ポイント
- •エネルギー省は戦略石油備蓄から最大4,000万バレルの提供を承認した。
- •今回の売却により、国際的な協調放出に対する米国の計画通り1億7,200万バレルの拠出が完了する。
- •政権は欧州各国に緊急石油備蓄から同様の取り崩しを行うよう促した。
- •取り崩しは燃料供給を支える可能性がある一方、将来の緊急時に備えられる備蓄は減少する。
- •エネルギー情報局(EIA)の週次報告により、放出期間中の備蓄の変化が明らかになる。

米国は緊急備蓄からの石油放出を追加で命令し、欧州各国にも同様の措置を促した。中間選挙を約2か月後に控え燃料価格が急騰する中、トランプ政権はこれに対応している。
エネルギー省の声明によると、米国は戦略石油備蓄(SPR)から最大4,000万バレルを提供する。今回の提供により、イラン戦争開始以降進められてきた世界中の備蓄を協調的に取り崩す取り組みに対する米国の1億7,200万バレルの拠出が完了する。この最終分をもって、米国の拠出分はすべて確定した。取り崩された1バレルごとに、将来の供給途絶に備えた備蓄は1バレル減ることになる。これが緊急備蓄を取り崩すことの本質的なトレードオフである。
Bloombergは9月29日、エネルギー省の声明に基づきこの動きを報じた。この展開は最新の連邦在庫データとも重なる。米エネルギー省の統計機関であるエネルギー情報局(EIA)は、週次石油状況報告でSPRの水準を含む米国の原油在庫データを公表しており、取り崩しが進む中で備蓄の推移が週ごとに確認できる。
背景:戦略石油備蓄とは
SPRは連邦政府の緊急原油備蓄であり、テキサス州とルイジアナ州のメキシコ湾岸沿いの地下深部の岩塩ドームに貯蔵されている。1973〜74年の石油禁輸措置が米国経済の突然の供給途絶への脆弱性を露呈したことを受け、1970年代半ばに設立された。
石油消費国間の戦略備蓄の協調取り崩しは、過去の供給混乱の際にも実施されている。2011年のリビア内戦時の放出や、2022年のロシアによるウクライナ侵攻後に開始された複数国による放出などがその例である。イラン戦争の勃発とともに始まった今回の協調放出には米国の1億7,200万バレルの拠出が含まれており、今回の最終4,000万バレルの提供で完了する。欧州各国政府にも石油放出を呼びかける姿勢は、複数の消費国が同時に備蓄を取り崩した過去の取り組みの論理と軌を一にする。
今後の動向を注視する読者にとって、EIAの週次石油状況報告が最も直接的な確認手段となる。最終の4,000万バレルの提供が進む中、備蓄にどれだけの原油が残っているかがその数値に示される。
本記事はEconbrowserの報道に基づき、EIAデータおよびBloombergの報道を引用したものです。