紅海リスクの高まりで石油タンカーがスエズ運河に回帰
重要ポイント
- •スエズ運河の収入は2026年7月に5億500万ドルに達し、2025年7月の3億5,500万ドルから42%増加した。
- •運河の総通航船舶数は前年同月比27%増の1,340隻で、石油タンカーの通航数は6月の485隻から526隻に増加した。
- •紅海およびバーブ・エル・マンデブ海峡でのフセイン派の脅威とサウジ積み貨物の封鎖により、サウジや欧米の船主はタンカーをスエズ運河経由に迂回させている。
- •サウジアラビアはヤンブからタンカーでアイン・スフナへ原油を輸送し、約200マイルのスミド・パイプラインでエジプト地中海側のシディ・ケリール港へ送る輸送を強化している。
- •迂回による長距離航行はタンカー船腹を拘束して運賃を引き上げており、運河の交通量はサウジ船舶へのフセイン派攻撃の継続次第である。

紅海南部およびバーブ・エル・マンデブ海峡での航行への脅威が高まるなか、地中海へと通じるエジプトの関門を通過する石油タンカーが急増し、スエズ運河の収入は7月に前年同月比で42%増加した。
ブルームバーグが引用したエジプト統計庁(CAPMAS)のデータによると、収入は7月に5億500万ドルに達した。この数字は2025年7月の3億5,500万ドルや2026年6月の4億3,800万ドルを大きく上回る。2023年末に始まった紅海攻撃の初期段階で多くの船社が同航路を避けてアフリカ喜望峰回りに航行し、運河が大幅な交通量減少に苦しんだことを考えると、今回の回復は状況の変化を示している。
2026年7月のスエズ運河通航船舶数は前年同月比27%増の1,340隻となった。紅海およびバーブ・エル・マンデブ海峡でのフセイン派による航行脅威を受け、石油タンカーの通航数は6月の485隻から7月には526隻に増加した。通行料収入が外貨獲得に大きく依存するエジプトにとって、この回復は重要な意味を持つ。スエズ運河収入は、紅海の混乱で急減するまで、観光や海外からの送金と並ぶ同国の主要な外貨源の一つだった。
ホルムズ海峡危機のため原油輸出の大半を紅海西岸のヤンブ港へ迂回させていたサウジアラビアは、タンカーをさらに北上させ、スエズ運河およびエジプト地中海側のシディ・ケリール港へ至るパイプライン経由に変更せざるを得なくなった。
イランと連携するイエメンのフセイン派が7月に紅海南部およびバーブ・エル・マンデブ海峡でのサウジ積み貨物の封鎖を発表して以来、サウジアラビアはヤンブから紅海側エジプトのアイン・スフナ港までタンカーで原油を輸送し、そこからスミド陸上パイプラインを通じてエジプトのシディ・ケリール港へ送る輸送を強化している。アイン・スフナからシディ・ケリールまでエジプトを約200マイルにわたって横断するスミド・パイプラインは、運河自体を通航せずに紅海と地中海の間で原油を輸送する主要な陸上代替手段として長年機能してきた。
紅海でサウジのタンカーへの複数回の攻撃につながったフセイン派の脅威は、サウジおよび欧米の船主に、バーブ・エル・マンデブ海峡を回避するため積荷を積んだタンカーをエジプトのスエズ運河へ迂回させる要因となっている。
紅海およびバーブ・エル・マンデブでの航行への脅威により、サウジ原油をアジアへ運ぶ一部の石油タンカーはすでに、スエズ運河、地中海、アフリカ周りという大幅に長い航路を選ばざるを得なくなっている。長距離航行はより多くのタンカー船腹を拘束し運賃を引き上げるため、多数の船舶が長距離航路に振り向けられる際には従来、タンカー市況を下支えしてきた。サウジ船舶へのフセイン派の攻撃が続く場合、運河のタンカー交通量が増加を続けるかどうかは今後数か月で明らかになる。
チャールズ・ケネディによる Oilprice.com 執筆記事。