ニュース株式S&P 500配当利回りが米10年国債を下回る、国債を上回る銘柄数は2007年以来の最少水準に

S&P 500配当利回りが米10年国債を下回る、国債を上回る銘柄数は2007年以来の最少水準に

著者: CryptoBriefing·

重要ポイント

  • リズ・アン・ソンダース氏が8月20日に共有したNed Davis Researchのデータによると、現在、米10年国債の利回りを上回るS&P 500構成銘柄はわずか3.85%で、2007年5月以来の最低水準です。
  • S&P 500の平均配当利回りは約1.05%にとどまる一方、米10年国債の利回りは約4.74%で、米国債は約5倍のインカム面での優位性を持っています。
  • 2016年7月にはS&P 500構成銘柄の63.4%が米10年国債の利回りを上回っており、過去10年間でインカム環境がいかに急激に逆転したかを物語っています。
  • 株式利回りの縮小は、株価評価の高さ、配当増額よりも自社株買いを優先する企業の姿勢、そしてエヌビディア、アップル、マイクロソフトといった配当をほとんどまたは全く支払わないメガキャップ・テクノロジー企業への指数の集中が進んでいることを反映しています。
  • 利回り格差の今後の方向性は、FRBの政策、インフレ期待、政府債務の供給、そして自社株買いが企業の資本還元の意思決定で引き続き主流であり続けるかどうかに依存します。
S&P 500配当利回りが米10年国債を下回る、国債を上回る銘柄数は2007年以来の最少水準に

株式を主にインカム獲得目的で保有する合理性は大幅に低下しています。S&P 500の配当利回りは約1.05%まで下落した一方、米10年国債の利回りは約4.74%に位置しており、この乖離がここまで一方に偏った状態は世界金融危機の前年以来ありません。

アナリストのリズ・アン・ソンダース氏が8月20日に共有したNed Davis Researchのデータによると、現在、米10年国債の利回りを上回るS&P 500構成銘柄はわずか3.85%です。これは2007年5月以来の最低水準です。

10年間で起きた逆転

この変化の規模は、2016年7月に遡ると明確になります。当時はS&P 500構成銘柄の63.4%が米10年国債よりも高い利回りを提供していました。それから10年の間に、国債利回りはパンデミック期の利上げサイクルを経て正常化した一方、S&P 500の平均配当利回りは2020年以降2%を下回ったままです。2026年の大半では、1.1%前後あるいはそれを下回る水準で推移しています。

配当利回りが縮小した理由

株式配当利回りの低下は、主として企業が配当支払いを削減した結果ではありません。むしろ、相互に強め合う3つの要因が作用しています。

第一は株価評価です。S&P 500は、安定した配当支払いであっても極めて小さな利回りにしかならない水準まで上昇しています。株価が2倍になっても年間配当が横ばいであれば、利回りは半分になります。

第二は自社株買いです。米国企業は、資本還元手段として配当増額よりも株式買入れを好む傾向を強めています。自社株買いには配当にはない利点があります。配当削減のようなマイナスのシグナルを発することなく中止できること、そして発行済株式数を減らして1株あたりの業績を押し上げることです。近年、S&P 500全体の自社株買いは配当支払い総額を上回っており、年間数千億ドル規模に達しています。

第三は指数の構成です。S&P 500は、配当を一切支払わないか、時価総額に比べてごく僅かしか支払わないメガキャップ・テクノロジー企業の影響をますます強く受けるようになっています。いずれも指数の最大ウエイト銘柄であるエヌビディア(Nvidia)、アップル(Apple)、マイクロソフト(Microsoft)は、配当として時価総額のごく一部しか分配しておらず、公益事業、生活必需品、エネルギーといった伝統的なインカムセクターがどれだけの配当を支払おうとも、時価総額加重平均を押し下げています。

インカム志向ポートフォリオへの影響

主な目的がインカム獲得である投資家にとって、固定収益証券、とりわけ米国債は、書面上では注目に値する代替手段となっています。利回り4.74%の米国債は、約1.05%のS&P 500の平均配当利回りの約5倍のインカムを生み出します。

株式利回りと債券利回りを比較するという、長年議論されてきた「フェドモデル」の論理を想起させるこの比較は、長期的なリターンに対する結論ではなく、現時点のインカムのスナップショットです。満期まで保有した米国債は固定クーポンを確定する一方、配当は時間の経過とともに引き上げることも可能です。また、両資産クラスとも、環境が変化すれば価格リスクを負います。

この格差が今後どうなるかは、FRBの政策、インフレ期待、政府債務の供給に左右される米10年国債利回りの推移と、企業の資本還元が引き続き配当増額よりも自社株買いを優先するかどうかにかかっています。

これほど少数のS&P 500銘柄しか米10年国債の利回りを上回らなかったのは、2007年半ばが最後でした。この歴史的類似は同様の結果が不可避であることを意味しませんが、株式と債券のインカムの極端な乖離は、景気循環の後期局面の動向と一致する傾向があったことを浮き彫りにしています。