ニュースマクロQ2は減速も、オフィス市場は底堅さを維持 — Colliers

Q2は減速も、オフィス市場は底堅さを維持 — Colliers

著者: Bworldonline·

重要ポイント

  • Metro ManilaのH1 2026オフィス取引量は336,000 sq.m.で、Q2は前四半期比24%減の145,000 sq.m.だった。
  • Makati CBDがH1の需要を主導し、Fort Bonifacioが続いた。Mandaluyongはプレリース契約を背景に最も大きく改善した。
  • 地方都市のオフィス取引量はH1 2026に65,000 sq.m.へ減少し、前年同期の159,000 sq.m.から大きく落ち込み、2022年以降で最弱の上期となった。
  • Metro ManilaのH1 2026空室率は19%で、Colliersは2026年通年のネット吸収見通しを300,000 sq.m.、期末空室率見通しを19.3%に引き下げた。
  • Administrative Order No. 45はMetro ManilaでPEZA適合物件の選択肢を広げる見込みで、H1 2026にはフレキシブルワークスペース需要も拡大した。
Q2は減速も、オフィス市場は底堅さを維持 — Colliers

フィリピンのオフィス市場の勢いは、2026年の第2四半期(Q2)に失速した。中東危機を背景とする地政学的不確実性により、入居企業が契約のタイミング、コスト、スペース確保の方針を再検討したためである。リース判断は年後半へ先送りされ、設備投資負担の見込みが高まるなか、入居企業は移転や拡張よりも更新を優先した。それでも、市場には回復に向けた手段が残されている。ランドロールがより選別的なテナント基盤を巡って競争するなか、入居企業は柔軟性、適合性、立地をこれまで以上に慎重に見極めている。フレキシブルワークスペースやマネージドソリューションは注目を集めており、Administrative Order(AO)No. 45は、Metro ManilaにおけるPhilippine Economic Zone Authority(PEZA)認定物件の選択肢を広げ、information technology and business process management(IT-BPM)およびglobal capability center(GCC)の需要を支えるとみられている。

中東危機がオフィス需要を圧迫

2026年上期(H1)時点で、Metro Manilaのオフィス取引量は336,000平方メートル(sq.m.)となり、そのうち第2四半期は145,000 sq.m.だった。これは前四半期比24%減で、Q2は2024年以降で比較的弱い期間の一つとなった。もっとも、この減速は市場全体の縮小ではなく、リース判断の先送りを反映したものである。スペース返還は通常水準にとどまり、その多くは大幅な縮小や契約解除ではなく、自然な契約満了に伴うものだった。

主要な中央業務地区(CBD)が引き続き需要を支えた。Makati CBDはH1 2026の取引量約65,000 sq.m.でMetro Manilaを主導し、Fort Bonifacioが63,000 sq.m.で続いた。Mandaluyongは47,000 sq.m.と最も改善が大きく、進行中のオフィス開発における大型プレリース契約が下支えした。需要の中心は従来型の入居企業で、その後に第三者アウトソーシング企業とGCCが続いた。

Metro Manila以外では、地方都市のオフィス需要が大きく弱まった。H1 2026の地方取引量は65,000 sq.m.にとどまり、前年同期の159,000 sq.m.から減少し、2022年以降で最も弱い上期実績となった。Iloiloは22,000 sq.m.で首位を維持し、Cebuは19,000 sq.m.で続いたが、Cebu IT ParkとCebu Business Parkの供給不足が引き続き制約となっている。

空室率とネット吸収見通しを下方修正

Metro Manilaの空室率は2026年H1時点で19%となり、直近四半期から概ね横ばいで、前年の20%からは改善した。需要の鈍化を踏まえ、Colliersは2026年通年のネット吸収見通しを300,000 sq.m.へ、期末空室率見通しを19.3%へ修正した。H1 2026に新規竣工はなかったが、H2には約434,000 sq.m.の新規供給が見込まれており、価格、アメニティ、建物認定を通じた差別化がランドロールに求められる。

フレックスを前へ

フレキシブルワークスペースは、市場における明確な好材料の一つとなっている。H1 2026のネット吸収は前年比で倍増し、約6,000席に達した一方、Metro Manilaのフレックス在庫は約60,000席となった。フレキシブルワークスペース事業者は、従来型入居需要の中でも一定の比率を占めており、このオフィスモデルへの需要を示している。

この魅力は分かりやすい。フレックスやマネージドソリューションは、長期かつ資本負担の大きい契約を、より短期で拡張性の高い契約へと変える。人員増加、ハイブリッド勤務方針、拡張時期に不透明感がある入居企業にとって、このモデルは機動性を高め、内装工事リスクを抑える。ランドロールにとっては、フレックス運営事業者との連携により空室フロアの稼働を早め、将来の通常賃貸テナントの受け皿をつくり、直賃需要が鈍化したビルの競争力向上にもつながる。

AO No. 45が需要を下支え

Administrative Order No. 45は、オフィスセクターにとって重要なタイミングで導入される。AO No. 18に基づくモラトリアムの対象からMetro Manilaのinformation technology(IT)パークとITセンターを除外することで、IT-BPM企業とGCC向けのPEZA適合物件の選択肢が広がる見通しだ。H1 2026時点でMetro Manilaには約7.9百万sq.m.のPEZA認定オフィスストックがあり、そのうち約1.46百万sq.m.が賃貸可能だった。Colliersは、現在PEZAの審査または申請中の空きスペース約681,000 sq.m.も、承認されれば適合在庫に加わる可能性があるとみている。

これは、希望サブマーケットでPEZA選択肢が限られ、契約判断を先送りしていた入居企業に追い風となるはずだ。ただし、影響は立地によって異なる。Fort Bonifacio、Makati CBD、C5 Corridorはなお選択余地が限られる一方、Bay Area、Makati Fringe、Quezon City、Ortigas CBDなどは現在および将来のPEZA供給が比較的厚い。したがって、入居企業は早めに動き、候補を広げ、認定手続き中のランドロールとも接触すべきである。

結論

中東危機が引き続きリース心理を抑えているなかでも、入居企業は受け身の様子見姿勢を避けるべきだ。契約満了の18〜24カ月前にはレビューを始め、交渉力を確保し、有利な条件を得て、長期的な事業要件に合うスペースを見極める必要がある。PEZA登録企業は、認定済み物件と審査中物件の双方を確認すべきであり、とりわけ適合供給が迅速に吸収されやすい制約の強い立地では重要である。稼働率、人員、コストの不透明感が残る場合は、フレキシブルワークスペースやマネージドソリューションも検討対象となる。

また、立地選定ではトランジット志向の開発をより重視すべきである。通勤時間が人材定着やオフィス回帰率にますます影響するなか、既存および計画中の交通ハブに近い場所は相対的に底堅さを保つ可能性が高い。ランドロールは、より選別的な入居市場に備え、アメニティの向上、グリーン認証の取得、改修・賃料見直し・明確なサステナビリティ戦略を通じた旧来のPEZA資産の再構築を進める必要がある。市場は減速局面にあるかもしれないが、早期に動く入居企業とランドロールが、需要回復時に最も有利な立場に立つだろう。

Kevin Jara is director and head of tenant representation while Kath Taburada is senior market analyst at Colliers Philippines.