Barbie再生に関わったGap CEOリチャード・ディクソン、文化的関連性で小売業の立て直しを狙う
重要ポイント
- •Gapの既存店売上高は第1四半期に10%増加し、2年連続の成長を維持した。
- •リチャード・ディクソンは、Gap Inc.が5年間で5人のCEOを交代させた後、2023年にCEOに就任した。
- •Katseyeと組んだGapの「Better in Denim」キャンペーンは8,000万回視聴され、限定版フーディーのコラボも好調だった。
- •Gap Inc.は2020年の発表後、北米で約350のGapとBanana Republic店舗を閉鎖し、残る旗艦店のショーケースとしての重要性が高まった。
- •Gap Inc.の株価は今年20%下落しており、再建には売上だけでなく価格決定力の向上も必要だとアナリストはみている。

Gap Inc.のCEO、リチャード・ディクソンには一つの持論がある。ブランドは、無関係化から販売だけで抜け出すことはできない。
Fortuneの動画シリーズ「Behind the Business」のインタビューで、マンハッタンのフラットアイアン地区にある改装後のGap旗艦店を案内していたディクソンは、アニー・リーボヴィッツとブルース・ウェーバーが撮影した額装写真の下で足を止めた。写真には、デビー・ハリー、ウィリー・ネルソン、ローレン・ハットンがGapのクラシックなアメリカン・カジュアルウェアを着用している姿が写っている。近くには、ブランドの新しいデニムラインを宣伝する現代の「Gap girl」ハイリー・ビーバーの大きな写真が掲げられている。フラットアイアン店の改装は、より軽量な不動産戦略も示している。Gap Inc.は2020年、北米で約350店舗のGapとBanana Republicを閉鎖すると発表しており、残る旗艦店がブランドのショーケースとしてより大きな役割を担うことになった。
この対比は、2023年にCEOに就任したディクソンの戦略を示している。Gap Inc.が5年間で5人のCEOを交代させた激動の時期を経て、同社の同名チェーンを文化的な対話に再接続しようとしているのだ。そのために彼は、デザイナーのザック・ポーゼンをGap Inc.のクリエイティブ・ディレクター兼Old Navyのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに起用し、著名人とのコラボレーションに投資し、会社の歴史を前面に押し出している。その歴史は深い。同社は1969年にサンフランシスコで最初の店舗を開き、Levi’sとレコードを販売していた。1980年代後半から1990年代にかけての白黒の著名人広告キャンペーンは、同ブランドを米国ポップカルチャーの定番にした。しかも焦点は同名チェーンだけにとどまらない。Gap Inc.のポートフォリオにはOld Navy、Banana Republic、Athletaが含まれ、売上ではOld Navyが4ブランド中最大であるため、ポーゼンの担当範囲は両方の旗艦ブランドに及ぶ。
「私たちには優れたストーリーとブランドがあったが、どこかの時点で物語を見失い、モノそのものにばかり注目するようになった」とディクソンはインタビューで語った。「文化的なつながりと関連性は、実際にはブランド管理の根本的な一部だ」
初期の結果は前向きだ。Gapの既存店売上高は第1四半期に10%増加し、2年続きの成長を延ばした。グローバル・ガールズグループのKatseyeと組んだ「Better in Denim」キャンペーンは、バスビー・バークレー風のダンス映像がバイラル化し、再生回数は8,000万回に達した。さらに限定版フーディーのコラボ商品も好調に売れた。Victoria Beckham、Malcolm Todd、Inde Navarretteもこの取り組みに加わっており、Old NavyはCardi Bとデニムで協業している。
ただし、文化的な話題性と再建の成功は同じではない。多くのアパレル小売業者が今年は売上成長を示しているが、その一部は広範なインフレの影響によるものだ。真の試金石は、消費者がGapのTシャツやジーンズにそれだけの価値を見いだし、同社が価格を引き上げられるかどうかにある。Gap Inc.の株価は今年20%下落しており、Guggenheimのアナリスト、サイモン・シーゲルが言うように、同社の再生はいまだに「様子見」の物語だ。
「文化的関連性の目的は何か」とシーゲルは問いかけた。「それは収益を押し上げ、さらに価格を押し上げることのはずだ」
現時点でGapの取り組みから読み取れる教訓はそこにある。老舗ブランドの過去は資産になり得るが、それが現在への信頼できる橋渡しを提供する場合に限られる。ディクソンはMattelでそれを学んだ。彼は同社で長年、最終的には社長兼COOとして、Barbieの文化的存在感の回復に向けた舵取りを担い、人形を基にした大ヒット映画の土台を築いた。Greta Gerwig監督の2023年作「Barbie」は世界興収14億ドル超を記録し、老舗ブランドの再構築がどこまで到達し得るかを示した。
Mattelでは、文化的関連性が大ヒットという結末につながった。Gapでは、その続編はいまも制作中だ。