船会社は紅海航路を前進、コンテナスポット運賃は二極化
重要ポイント
- •アジア・米国西海岸向けスポット運賃は9%上昇してFEU当たり7,422ドル、アジア・米国東海岸向けは3%上昇して過去最高の9,422ドルとなった。
- •アジア・北欧向け運賃は7月高値から約20%下落して約4,700ドル、アジア・地中海向けは30%下落して約5,000ドルとなった。
- •ホルムズ海峡再開を目指した米イラン覚書は進展なく失効し、フーシ派による商船攻撃も再開した。
- •Maersk、Hapag-Lloyd、CMA CGM、Coscoは、戦争、港湾混雑、ドイツの労働争議が続くなかでも紅海航路の再開を計画している。
- •バンカー価格は停戦崩壊後15%上昇し、パナマ運河の喫水制限引き下げに伴ってFEU当たり200ドルから1,000ドルの通航サーチャージが導入される。

コンテナのスポット運賃は反対方向に動いており、その乖離こそが、現在の海運で得られる数少ない明るい材料の大半を占めている。
太平洋横断航路は上昇、アジア・欧州は軟化
スポット運賃は、長期契約外で直前にコンテナを動かす際の価格であり、世界の商品貿易の数量ベースで大半を運ぶこの業界において、最も動きの速い市場指標だ。そのため、今回の分岐は船会社だけの問題にとどまらない。
SONAR寄稿者 Freightos(NASDAQ: CRGO)の最新データによると、アジア・米国西海岸向け価格は9%上昇して40フィート換算単位(FEU)当たり7,422ドルとなり、アジア・米国東海岸向け価格は3%上昇してFEU当たり9,422ドルの過去最高をつけた。これに対し、アジア・欧州航路は、早めに進んだ繁忙期が予定より早く一服するなか、7月中旬の高値から軟化している。
運賃の動きの背後には、なお解決していない地政学的背景と、それにもかかわらず変化している船会社の判断がある。
ホルムズ外交は停滞
ホルムズ海峡を再開し、戦争終結交渉を開始するために60日前に署名された米イラン覚書は火曜日に失効した。イランによる攻撃が続き、米国の封鎖も依然として続くなか、海峡再開は合意署名前と比べても近づいていない。
公表資料では、紅海南端を守るバブ・エル・マンデブ海峡を通過する際の保険料が上昇しているとされている。同時に、ホルムズ封鎖による燃料費の上昇は、スエズ運河ルートを避けてアフリカの喜望峰を回る迂回航路を、2023年後半から戦争開始時点までに比べてはるかに高コストにしている。喜望峰経由は数千マイルの迂回となり、通常は世界のコンテナ輸送の約30%を担うスエズ運河に比べて、おおむね2週間ほど航海日数が増える。
さらに悪いことに、フーシ派は最近、サウジアラビアとのくすぶっていた対立が表面化したことを受け、商船への攻撃を再開した。
船会社は前進
戦争と新たな紅海攻撃が続くなかでも、Maersk(OTC: AMKBY)と共同運航パートナーのHapag-Lloyd、さらにCMA CGMとCoscoは、紅海通航を再開する構えを崩していない。以前なら脅しで引き返していたところだが、今回の強気な姿勢の背景には、頑固な港湾混雑を含む市場環境の変化がある可能性がある。Maerskは直近の決算説明会で、混雑がコンテナ需給の新たな主要要因だと指摘し、需要増がヘッドハウル/バックハウルの不均衡を一段と深めていると述べた。ドイツでの労働争議も遅延要因に加わっている。
価格面では、Freightosによると、アジア・北欧向け運賃は今週FEU当たり約4,700ドルまで下落し、7月高値から20%安、FEU当たり1,000ドル超の下げとなったが、それでも5月比では60%高い。アジア・地中海向けはピークから30%下落して、FEU当たり約5,000ドルとなった。
燃料費とパナマ運河費用が重なる
バンカー価格は停戦崩壊以降15%上昇しており、一部の船会社は9月中旬にFEU当たり約90ドルの緊急燃料サーチャージを引き上げた。さらにパナマ運河庁は、今月の1日当たり通航隻数を削減し、Neopanamaxの喫水制限を今月は48フィート、9月上旬には47.5フィートに引き下げる。これに伴い、船会社は9月中旬からFEU当たり200ドルから1,000ドルの運河通航サーチャージを発表している。
荷主にとって当面の注目点は、再開した紅海航路が維持されるかどうか、そして新たな燃料費・運河費用が次回の公表運賃にどう織り込まれるかだ。