Anthropicの1日あたりのコードマージ数が5月以降10倍に急増、Claude Codeの普及でGitが限界に
重要ポイント
- •Anthropicの1日あたりのコードマージ数は、同社によると約10倍に増加し、2026年5月の約2,500件から2026年9月には30,000件を超えた。
- •この急増により、Anthropicは業界標準のバージョン管理システムGitを、社内で構築したバージョン管理システムScionに置き換えた。
- •増加を牽引したのはClaude Codeであり、2026年の初期の報道では、Anthropicのマージ済み本番コードの80%以上がこのツールによるもので、2025年2月以前は一桁だったとされる。
- •エンジニアたちは2025年以前の水準より1日あたり約8倍のコードをマージしており、Claudeは388件のメンテナンス用プルリクエストを自律的に生成し、その約46%が人間のレビュー後にマージされた。
- •Anthropicはマージに対する潜在的需要が依然として非常に高いと述べており、同社の経験は、AI主導のチームがバージョン管理およびCIツーリングのより広範な見直しを迫る可能性を示唆している。

Anthropicのエンジニアたちは、自社のツールの処理能力を超える勢いでコードをマージしている。同社によると、1日あたりのコードマージ数は2026年5月の約2,500件から2026年9月には30,000件を超えるまでに増加した。これは約4カ月で10倍の増加にあたる。
この急増を受け、AnthropicはGitを廃止し、自社開発のバージョン管理システムScionを採用した。Gitとは、2005年にLinus Torvaldsが作成したオープンソースのバージョン管理システムで、業界の標準となり、GitHubやGitLabなどのプラットフォームの基盤を支えている。ソフトウェア業界の大部分が今なおコードの変更を追跡・統合するために使っているツールである。マージとはまさにその統合工程であり、マージ数はエンジニアリングのスループットを直接測る指標となる。同社は2026年10月13日に公開したエンジニアリングブログ記事でこの移行について詳述した。
急増を支える数字
牽引役となっているのは、Anthropicのエージェント型コーディングツールClaude Codeである。これは、高度な自律性をもって複数ステップのプログラミング作業を実行するよう設計されたソフトウェアだ。2026年の初期の報道によると、Anthropicのマージ済み本番コードの80%以上をClaudeが作成しており、この割合は2025年2月以前には一桁だったとされる。
エンジニアたちは2025年以前の水準と比べて、1日あたり約8倍のコードをマージしていた。また、Claudeはメンテナンス作業も自律的に処理し、388件のプルリクエストを生成した。そのうち約46%が人間によるレビューを経てマージされた。
なぜGitでは不十分になったのか
Claudeがコードの大部分を生成するようになると、ボトルネックは移った。コードを書くことが遅い工程ではなくなり、ソース管理、ビルド、そして継続的インテグレーション(CI)——変更が取り込まれる前に自動的にビルドとテストを行う手法——が新たな制約となった。
Anthropicの答えが、自社開発のバージョン管理システムScionだった。これに併せて、Antiqueと呼ばれるコードレビューシステムを含むサポートツールもアップグレードした。移行全体には5カ月を要し、マージ需要が増え続ける中で完了した。
尖端が見えない需要
Anthropicは、コードマージに対潜在的需要が依然として非常に高いと述べている。同社の説明では、残されたボトルネックを取り除けば、直ちにより多くの成果につながるという。
アシスタントから主執筆者へ
2025年2月以前、ClaudeのAnthropicコードベースへの貢献は最小限だった。2026年初めには、報道によりClaudeのマージ済み本番コードに占める割合は80%を超えたとされ、9月までに1日あたりのマージ総数は30,000件を突破した。
同社の経験は、主要AIラボの間で広がるより大きな潮流も反映している。コーディング作業が自動化されるにつれ、運用上の制約が再定義され、純粋なコーディングよりもインフラのオーケストレーションと効率性へと関心が移りつつある。
これが意味するもの
エンジニア1人あたり8倍のコードといった目立つ数字も、コードがレビューを通過し安全に取り込まれてこそ意味を持つ。Claudeのメンテナンス用プルリクエストにおける約46%という人間レビュー後のマージ率は、機械の出力の大きな部分を依然として人間の判断がふるいにかけていることを示している。
AnthropicはClaude Codeを外部の開発者に販売しており、同社自身のエンジニアリングをこのツールで運用することは、大規模な社内ストレステストとして機能している。ツールがマージ数を10倍に跳ね上げさせ、それを吸収するために必要なインフラを文書化できるラボは、エンタープライズの購入担当者に対して説得力のある提案を持つことになる。
AnthropicはGitをさらに拡張するのではなく、Scionを構築することを選んだ。他のAI主導のエンジニアリングチームが同様の壁にぶつかれば、バージョン管理およびCIツール市場は数年で最大の見直しに直面する可能性がある。Anthropicの数字は、他のAI主導のチームにとって自社ツーリングを測る公開のベンチマークとなり、潜在的需要が依然として非常に高いという同社の指摘は、この制約問題がまだ進行中であることを示している。