米国債利回りの上昇、原油高、ウォルマートの急落でウォール街が下落
重要ポイント
- •S&P500、ナスダック総合株価指数、ダウ工業株30種平均は、短期間の反発が終了した木曜日にいずれも下落して取引を終えた。
- •米財務省は10年、20年、30年物国債の買入れ操作を2倍以上に拡大すると表明し、これにより利回りはカーブ全体で上昇した。
- •中東の緊張とホルムズ海峡をめぐる対立が続き、原油価格が支えられるなか、ブレント原油は1バレル93ドル近くまで上昇した。
- •ウォルマートは第2四半期の売上高が市場予想を下回り、約8%下落して4年ぶりの大幅な1日の下落となった。
- •銀行株や一部のAI関連株も軟化し、マクロ要因と決算への懸念を背景とした幅広い売りに拍車をかけた。

ウォール街の株価は木曜日、急落して取引を終えた。米国債利回りが再び上昇したうえ、原油価格の高騰がすでに不安定な市場にさらなる圧力をかけ、短期間の反発局面に終止符が打たれた。
S&P500は64.33ポイント(0.83%)安の7,643.65となった。ナスダック総合株価指数は272.67ポイント(1.04%)下落して26,058.42、ダウ工業株30種平均は693.04ポイント(1.30%)安の52,770.01で取引を終えた。
この日の相場は、水曜日に米財務省が10年、20年、30年物の国債を対象とする買入れ操作を2倍以上に拡大すると発表したことで広がった楽観観測の多くを覆すものとなった。財務省が自らの既発行債を買い戻すこうした操作は、これまで一般的に、流動性が低下して取引しにくい旧債の取引流動性を支えることを目的としてきた。トレーダーの間では、すでにドル流動性が潤沢であることを踏まえ、長期債の買入れ拡大がインフレ圧力を強める可能性があると解釈され、利回りはカーブ(利回り曲線)全体で再び上昇した。
10年債利回りは今週前半に4.75%という約20カ月ぶりの高水準を付けた後に低下し、30年債利回りは5.34%前後という約19年ぶりの高水準に達した後、5.2%を下回る水準まで戻した。長期金利の上昇は、期間プレミアム(短期債を乗り換え続けるのではなく長期債を保有することに対して投資家が求める上乗せ報酬)の拡大と同時に進んでいる。長期金利の上昇は、住宅ローンや社債の調達コストにも波及し、株式に対する債券のリスクフリーのリターンを引き上げる。この動きは、米連邦準備理事会(FRB)の政策金利とは独立して金融環境を引き締める要因となりうる。
エネルギー市場も圧力に輪をかけた。中東の不確実性が引き続き価格を下支えするなか、ブレント原油は1バレル93ドル近くまで上昇し、当日の上昇率は1.52%、週間では4%超となった。ホルムズ海峡をめぐるワシントンとテヘランの対立には緩和の兆しが見られない。同海峡は最狭部の幅が約21マイル(約34キロメートル)しかなく、世界で取引される石油の約5分の1が通過するため、妨害の懸念が生じるだけでも、世界のエネルギー市場にとって長年の懸念材料となってきた。さらにトランプ大統領は、米国がイランに対する経済戦争状態に入ったと述べ、ペルシャ湾を横断するタンカーへの封鎖を長期化させている。
個別株の動きは、マクロ主導の下落に拍車をかけた。ウォルマートは第2四半期の売上高が市場予想を下回ったことを受けて約8%急落し、4年ぶりの大きさとなる1日の下落率を記録した。米国最大の小売業者であるウォルマートは米国の消費者動向を測るバロメーターとして広く見られており、家計支出は米国の経済産出の約3分の2を占めるため、同社の決算は個別銘柄の枠を超えて注目を集める。JPモルガンやウェルズ・ファーゴを含む銀行株も、短期国債が売り込まれたことを受けて軟化した。AIハイパースケーラー(超大手クラウド・データセンター企業)は、競合相手のAnthropicの成長ペースと比較してOpenAIの業績が低調と受け止められたことを受けて、総じて下落した。
今回の動きにより、中東情勢の緊張、国債の期間プレミアムの上昇、まちまちな企業決算が市場心理を何度も激しく揺さぶってきた米国株の波乱の週に幕が下ろされた。ホルムズ海峡をめぐるワシントンとテヘランの対立が依然として解決しておらず、債券市場が財務省の介入規模を引き続き消化しようとするなか、トレーダーは金曜日から来週にかけて引き続き慎重な姿勢を保つとみられる。