UPS、組織再編でグローバル・ロジスティクスを小包配送より優先
重要ポイント
- •UPSは6月末までに低マージンのAmazon向け事業の大規模な縮小を完了し、18か月間で1日約200万個の取扱量を削減した。
- •ネットワークのスリム化の一環として、UPSは150の小包仕分けセンターを閉鎖し、3万人の従業員を削減した。
- •Nando Cesarone氏が最高グローバル・オペレーション責任者に、Matt Guffey氏が米国事業責任者に就任し、新設の最高グローバル商務戦略責任者の人選が進められている。
- •国際・医療・サプライチェーン・ソリューションズのプレジデント、Kate Gutmann氏は37年間の勤務を経て退任し、医療ロジスティクスを約120億ドル規模の事業に育てる役割を果たした。
- •UPS株の月曜終値は104.23ドルで、今年はほぼ横ばい、2023年8月31日の169ドルからは下落している。

ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS、NYSE: UPS)は月曜午後、グローバル・ネットワークをより有効に活用し利益成長を加速させることを目的とした新たな運営モデルと経営体制を導入すると発表した。同社は従来の小包配送業者から、より総合的なロジスティクス・プロバイダーへの進化を続けている。
今回の再編は、低マージンのAmazon向け事業の大規模な縮小と国内小包ネットワークのダウンサイジングが6月末までにほぼ完了した時期と重なっている。
新しい体制の下でUPSは、地域ごとの市場特有のニーズに対応する柔軟性を保ちながら、各地域でプロセスと手順を標準化する。同社によれば、その目的は、従来の小包配送業者としての位置づけを弱め、総合ロジスティクス・プロバイダーとして事業を展開するなかで、顧客に一貫性、俊敏性、スケールをより高めて提供することにある。
この転換は、新型コロナ禍で拡大したeコマースブームが正常化し、低価格の配送事業者が市場に参入するなかで、UPSの小包取扱量が伸び悩んでいる状況で行われる。方針を見直しているのはUPSだけではない。競合のFedExも複数年にわたる自社ネットワークの再構築を進めており、Amazonも自社内の配送能力を着実に拡大しており、いずれも小包セクター全体の価格圧力の一因となっている。また、UPSの変革は、Mail Innovationsプログラムなどラストワンマイル提携の経済性に影響を与えた米国郵政公社の価格決定の後の動きでもある。
注目ポイント: UPSは2年間にわたり、eコマース小包のラストワンマイル配送から距離を置き、医療、産業、自動車ロジスティクスといった高付加価値・プレミアム市場セグメントや、中小企業向けサービスに注力する意向を強調してきた。今回の再編は、同社の方向性をより具体的に示すものだ。新体制は、運営権限を単一のグローバル・オペレーション責任者の下に集約し、米国内の商業運営をグローバル・ネットワーク管理から切り離すものであり、Amazon向け取扱量を失ったスリム化後のネットワークの業績がどうなるか、投資家や顧客が注目する体制といえる。
経営陣の変更
UPSはNando Cesarone氏をエグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高グローバル・オペレーション責任者に任命した。同氏は同社のグローバル航空ネットワークと空港ゲートウェイ、地上輸送、建物・設備運営、Intelligent Network of the Future構想、自動車関連業務、サステナビリティ部門を担当する。Cesarone氏はこれまで米国事業のプレジデントを務めていた。
Matt Guffey氏は米国事業責任者に就任し、小包事業、Roadieの当日配送、Happy Returns、The UPS Stores、米国郵政公社との配送提携であるMail Innovationsを含むUPSの米国事業を統括する。同氏の前職は最高商務・戦略責任者(チーフ・コマーシャル・アンド・ストラテジー・オフィサー)だった。
またUPSは、グローバル戦略、マーケティング・コミュニケーション、製品管理、価格設定を担当する新役職「最高グローバル商務戦略責任者(チーフ・グローバル・コマーシャル・ストラテジー・オフィサー)」を新設し、後任者選任の募集中である。
さらに、国際・医療・サプライチェーン・ソリューションズのプレジデントを務めるKate Gutmann氏が家庭の事情により退任し、37年間の同社でのキャリアに終止符を打つことが発表された。同氏はこの6年間、今や同社の約120億ドル規模の事業となった医療ロジスティクス分野での成長を上位層へと押し上げ、米国の保護主義の高まりの中で国際部門を牽引する重要な役割を果たしてきた。
ネットワークのスリム化
UPSは18か月間で、採算が取れなくなったAmazon向け取扱量の50%、1日約200万個を削減した。この間に同社は150の小包仕分けセンターを閉鎖し、3万人の従業員を削減した。スリム化後のネットワークにとっての課題は、医療・産業・中小企業向けの収益が、Amazon撤退で失われた取扱量と密度を補えるかどうかである。
UPS株は今年ほぼ横ばいで、月曜の終値は104.23ドルだった。株価は2年前の127ドル、2023年8月31日の169ドルから下落している。
出典:FreightWaves、Eric Kulisch記(ekulisch@freightwaves.com)