ニュース暗号資産タイ、セルフカストディアル・ウォレットへの確認を伴うクリプト・トラベルルールを採用

タイ、セルフカストディアル・ウォレットへの確認を伴うクリプト・トラベルルールを採用

著者: Cointelegraph·

重要ポイント

  • タイSECは、暗号資産送金の当事者に関する情報を事業者に収集させるトラベルルール規則を公布。2027年2月27日発効。
  • 事業者は、顧客がセルフカストディアル・ウォレットとの間で暗号資産を送受領する際、その所有権または支配権を検証しなければならない。
  • デジタル資産事業者は取引情報を最低5年間保管し、規制上の検査に応じられるようにする義務がある。
  • 規則は3月と6月の2回のパブリックコメントを経て策定され、SECは大多数の関係者が支持したとしている。
  • AML統制強化と並行して、暗号資産デリバティブやビットコイン・イーサリアムのスポットETFへの個人投資家アクセス拡大案も進められている。
タイ、セルフカストディアル・ウォレットへの確認を伴うクリプト・トラベルルールを採用

タイは、セルフカストディアル・ウォレットを含む暗号資産送金への監督を強化しており、これは国際的な資金洗浄防止(AML)基準との整合を図る取り組みの一環である。

同国の証券取引委員会(SEC)は水曜日、暗号資産送金の当事者に関する情報を暗号資産事業者に収集させる新たなトラベルルール規則を公布したと発表した。

規則は2027年2月27日に発効し、暗号資産事業者には、取引情報の送信・受領・監視のための体制を構築するまで約6か月の猶予が与えられる。

タイは、暗号資産の送金者と受取者を追跡する世界的な動きに加わる。トラベルルールは、AML基準を定める政府間機関である金融活動作業部会(FATF)に由来し、同機関はもともと電信送金に適用していた勧告16を2019年に仮想資産へと拡大した。FATFの推計では、2026年時点で調査対象の管轄地域の83%がトラベルルール関連の法制を整備済みという。ただし執行状況は国により大きく異なり、暗号資産送金は従来の銀行インフラではなくパブリックブロックチェーン上で処理されるため、事業者が身元データを別のチャネルで付随させる必要があり、コンプライアンス上の実務的課題も生じている。

セルフカストディアル・ウォレットに所有権確認の義務

新たな枠組みの下では、タイの暗号資産事業者は、顧客がセルフホスト型(セルフカストディアル)ウォレットとの間で暗号資産を送金または受領する際に、当該ウォレットの所有権または支配権を検証しなければならない。

中央集権型取引所(CEX)やカストディアンが管理するウォレットとは異なり、セルフカストディアル・ウォレットは、暗号資産にアクセスするために必要な秘密鍵をユーザーが直接管理できる。この設計のため、規制当局が開示を強制できる身元記録を保持する仲介者が存在せず、長らくAML議論の焦点となってきた。所有権検証の負担が送金の両側にある免許事業者に課されるのはこのためである。同様の規則を採用した他の管轄地域では、取引所はブロックチェーン分析や「サトシ・テスト」と呼ばれる少額のテスト送金といった手法でウォレットの支配権を確認してきた。

事業者はまた、すべてのデジタル資産取引に付随する情報を最低5年間保管し、規制上の検査に応じて提示できるようにしなければならない。

これらの要件により、セルフカストディアル・ウォレットを含む送金の背後にいる当事者を特定する責任が、暗号資産企業に一層課されることになる。タイSECのポーナノン・ブッサラトラグーン事務局長は、規則の狙いについて「デジタル資産事業者が資金洗浄やテロ資金調達に悪用されるリスクを低減すること」だと述べた。

公的な意見聴取から最終規則へ

最終規則は、本年3月の原案提示と6月の通知案を経て実施された2回のパブリックコメントに基づくものだ。SECによれば、大多数の関係者が案を支持したという。

トラベルルールの導入は、タイが他の規制対象暗号資産製品へのアクセス拡大を検討している時期と重なっており、犯罪対策を強化しつつ、より幅広い個人投資家の参加に門戸を開くという規制戦略を示している。月曜日には、SECが仲介業者に、規制された海外取引所で扱われる一部の暗号資産デリバティブへの個人投資家のアクセス提供を認める案を提示した。

その数日前には、規制当局がビットコインとイーサリアムのスポット上場投資信託(ETF)に関する規則案を前進させるとともに、暗号資産に投資するファンドが利用する外国デジタル資産カストディアンに対する要件について意見を求めている。