筆者指摘、レオ14世法王がMAGAとの対立で欠かせないのが聖ヨハネ・パウロ2世の反権威主義路線の継承
重要ポイント
- •クリストファー・ヘイル氏は、レオ14世法王による移民擁護とトランプ氏からの独立性を、ヨハネ・パウロ2世法王のかつての共産主義への抵抗と結び付けている。
- •レオ法王は、命を守ることには移民を迎え入れ、保護し、支援することが含まれると書簡で述べた。
- •トランプ氏は、共産主義の影響と移民への警告を2026年選挙メッセージの大きな要素としている。
- •レオ法王はアメリカ250年記念行事関連の行事には出席せず、ランペドゥーサ島で移民たちと一日を過ごした。
- •国防総省は、法王の発言がトランプ批判だとする懸念に対処するため、ピエール大司教(枢機卿)を招いた。

カトリック系ライターのクリストファー・ヘイル氏によると、レオ14世法王は、ポーランド出身のヨハネ・パウロ2世法王がかつて担った反権威主義の旗手の役割を引き継いだ。ただし今回は、ソ連の共産主義ではなく、ドナルド・トランプ大統領のMAGA運動に向けられているという。
レオ法王についてのSubstackニュースレターを執筆するヘイル氏は、最新のコラムで、ヨハネ・パウロ2世の権威主義への抵抗が、移民を擁護しトランプ氏に屈しないレオ14世法王の姿勢に直接つながっていると論じた。
この parallel は、1978年10月のヨハネ・パウロ法王の就任メッセージに始まるとヘイル氏は記している。法王はサンピエトロ広場の群衆に向かってこう語った。「恐れるな。キリストのために門を大きく開け。その救いの力に向かって、国家の、経済的・政治的体制の境界線を開きなさい」。
共産主義陣営の最高指導者たちは、新法王の意図を正確に理解していたとヘイル氏は言う。それから1年足らずで、ヨハネ・パウロ法王はワルシャワ空港の滑走路にひざまずいて接吻し、その日の午後には、共産主義政権が改称した勝利広場で、数十万人のポーランド国民を前にミサを捧げた。そのさらに1年余り後、ベルリンの壁が崩壊したと、ヘイル氏の記述は続く。
レオ法王は同じ役割を引き継ぎ、異なる相手と対峙しているとヘイル氏は論じる。「人間の尊厳への脅威は、赤い帽子をかぶり、右派の言葉を話している。神が鉄のカーテンの向こうでヨハネ・パウロ2世を立てて共産主義と対峙させたように、神はMAGA権威主義の壁の内側から、米州出身の法王を立ててこれと対峙させた」とヘイル氏は記している。
就任1年目のレオ法王は、史上初の米国出身法王として、その立場を生かし、人を愛するという価値観を守るよう米国国民に呼びかけている。6月の書簡で、レオ法王は、命を守ることには「移民を迎え入れ、保護し、支援することが含まれる」と述べた。この対立は教会の枠を大きく超えて重要だ。移民という米国政治で意見が分かれる争点を巡り、教皇庁の道徳的権威が現政権の選挙戦の中心的テーマとぶつかっているからだ。
ヘイル氏は、こうした法王の言葉を、移民と共産主義の脅威を結びつけるトランプ氏の警告と対比させる。共産主義に反対した法王は移民も迎え入れた一方、トランプ氏は移民に疑惑の目を向けるために共産主義を持ち出している、とヘイル氏は記す。
一方、トランプ政権は共産主義者がやって来ると警鐘を鳴らし続けている。21世紀版の「レッドスケア」は、トランプ氏の2026年選挙メッセージの大きな要素となっている。ラシュモア山での演説でトランプ氏は、「わが国では共産主義の脅威が再燃しており、その中には我が国への新来者も含まれる」と主張した。
ヘイル氏は、この枠組みが法王の立場といかに逆転しているかを指摘した。
大統領がレオ法王にアメリカ250年記念行事への出席を望んだ一方、法王はシチリア島沖の小島ランペドゥーサで、貧困、戦争、迫害から逃れてきた人々の流入に直面している移民たちと一日を過ごした。レオ法王は聖書の「善良なサマリア人」のたとえを想起し、「知的考察やイデオロギー的信条の前に、何も持たずにわたしたちの前に横たわる人との出会いが、その人に近くあるようわたしたちを招いている」と述べた。
米国に戻ると、国防総省は、トランプ批判と受け取られられる法王の発言を巡り、ピエール大司教(枢機卿)を招いて講義を行った。しかしレオ法王はひるむどころか、怯むこともなく、約束された政治的アクセスと引き換えに道徳的独立性を売ることを拒んでいる。
2026年の米国独立250周年記念行事「アメリカ250」が政権の政治カレンダーの柱となる中、この対立には注目すべき具体的な指標がある。トランプ氏の2026年のメッセージが移民と共産主義の影響への警告を結び付け続けるのか、そして出席要請を辞めてランペドゥーサを選んだレオ法王が公式行事でいかなる役割を担うのか(担うとすれば)である。
ヘイル氏はコラムの結びで、MAGA権威主義への抵抗は人間の尊厳の擁護でもあり、信仰からの離脱どころかその核心にあるとカトリック信者が認識すべきだと結論付けた。ヨハネ・パウロ2世法王が励ましを与えたのに対し、ヘイル氏によれば、レオ14世法王は権力にはっきりと語りかけ、弱い立場の人を迎え入れることは責任であり弱点ではないと米国国民に思い起こさせている。