Palantir、トランプ政権下で軍事請負の強豪企業へと躍進
重要ポイント
- •Palantirの10年・100億ドルに及ぶ陸軍との契約は、データインフラ近代化に向けた複数の契約を単一の長期契約に統合したものだ。
- •Palantirに対する連邦政府の契約額は、2025年に9億7,050万ドル、過去の受注総額で19億ドル超を経て、2026会計年度に10億ドルを上回った。
- •2026年8月のペンタゴンのメモは、2027年3月までのPalantirのサービスに対し最大2億4,400万ドルの追加資金を指示した。
- •Palantirの米政府向け収益は2026年第1四半期に前年同期比84%増の6億8,700万ドルとなり、同社は2026年通期の収益見通しを76億5,000万〜76億6,000万ドルに引き上げた。
- •Palantirが運用を支援するAI照準プラットフォーム「Maven」の予算上限は約13億ドルに引き上げられた。

Palantir Technologiesは、知られぬ間に米国で最も重要な防衛請負業者の一角を占める存在となっている。2003年にピーター・ティールが創業し、長年CEOを務めるアレックス・カープが率いるこのデータ分析企業は、初期の頃、CIAのベンチャーキャピタル部門であるIn-Q-Telからの支援を受けながら情報機関向けの分析ツールの構築に注力し、その後、連邦政府全体および商用市場へと事業を拡大した。同社は2026会計年度に米政府との契約額が10億ドルを突破した。これはわずか数年前であれば想像もできなかった節目である。トランプ大統領の第2期政権の下、ニッチな情報ツールから本格的な軍事請負の強豪企業への転換は急速に加速している。この台頭は、ペンタゴンの支出におけるより大きな構造変化を反映している。ロッキード・マーティンやノースロップ・グラマンといったハードウェア系大手が長年支配してきた予算が、ソフトウェア中心の企業へとますます流れており、その防衛テックの一角には、ベンチャー支援を受けた競合であるAndurilと並んでPalantirも名を連ねている。
拡大し続ける契約パイプライン
Palantirの政府向け事業拡大の柱は、2025年7月に締結した米陸軍との10年・100億ドルに及ぶエンタープライズ契約(Enterprise Agreement)だ。この契約は、陸軍のデータインフラを近代化するための単一の効率的な取り決めに、複数の既存契約を統合するものとなっている。
Palantirに対する連邦政府の契約額は2025年に9億7,050万ドルに達し、過去の連邦政府からの受注総額は19億ドルを超えた。そして2026会計年度には、契約額が初めて10億ドルの大台を突破した。
ペンタゴンは2026年8月に追い風を加え、2027年3月までのPalantirのサービスに対して最大2億4,400万ドルの追加資金を指示するメモを発出した。これとは別に、Palantirが運用において中核的な役割を担うAI照準プラットフォーム「Maven」の予算上限は約13億ドルに引き上げられた。
Mavenは、ドローン映像やその他の監視データを人工知能(AI)で処理する国防総省のプロジェクトである。2018年にGoogleが当初この事業に携わった際には物議を醸した。Palantirは、Googleの従業員による抗議で中断された部分を引き継ぎ、同プログラムはその後、画像分析からより広範な照準プラットフォームへと発展した。この拡大は、引き上げられた予算上限にも表れている。
注目を集める収益成長
Palantirの米政府向け収益は2026年第1四半期に前年同期比84%増となり、6億8,700万ドルに達した。これを受け、同社は2026年通期の収益見通しを76億5,000万ドルから76億6,000万ドルの間に引き上げた。この見通しは政府向け事業に加え、企業顧客向けに提供される商用セグメント「Foundry」を含むPalantirの事業全体を対象としており、こうした多角化は現在の防衛関連の好況に先行して進められてきたものである。
トランプ大統領は2026年4月のソーシャルメディアへの投稿で、Palantirの「戦闘能力(war fighting capabilities)」を称賛した。連邦政府の収益への依存が深まる中、Palantirはワシントンでのロビー活動の存在感も高めている。
広がり続ける「堀」
100億ドル規模の陸軍契約は、複数の契約を1つの長期契約に統合することで、Palantirを同軍の技術基盤により深く組み込んだ。アナリストらは、こうした経常的な防衛ソフトウェア契約により、Palantirはテクノロジー企業としては異例と言えるほど高い収益の見通し可能性を確保していると指摘している。これは、従来、兵器プログラムを支配してきたコストプラス契約とは対照的である。陸軍との取り決めは、他の軍種も踏襲できる構造を示すものでもある。そして、この変化を追うのはPalantirだけではない。マイクロソフトやアマゾンといったクラウドプロバイダーや、Andurilのような防衛テック新興企業も、ペンタゴンのソフトウェア業務をめぐって競争している。