Oracle株が12%急落、700億ドルのAIインフラ投資計画が投資家の懸念を引き起こす
重要ポイント
- •Oracleの株式は6月11日に約12%下落し、約720億ドルの時価総額が抹消されて評価額は約5070億ドル付近まで下落した。
- •同社は2026会計年度に約700億ドルの純資本支出を見込んでおり、ほぼ全額がAIデータセンターの建設に充てられる。
- •Oracleのフリーキャッシュフロー赤字は2026会計年度に237億ドルへと劇的に拡大し、前会計年度のわずか3億9400万ドルから急増した。
- •支出の資金調達を支援するため、Oracleは債務と株式の発行を組み合わせて400億ドルを調達する予定である。
- •この売り圧力はより広範なテクノロジー株や欧州IT株にも波及し、投資家は業界全体における大規模なAIインフラコミットメントのリターン特性を見直した。

Oracleは6月11日、18カ月で最も急激な1日の下落を記録し、株価が約12%下落して約720億ドルの時価総額が抹消された。この売り圧力は、人工知能インフラへの前例のない支出を盛り込んだ同社の資本支出計画が引き起こしたものである。
Oracleは2026会計年度に約700億ドルの純資本支出を見込んでおり、ほぼ全額がAIデータセンターの建設に充てられる予定だ。この支出のかなりの部分を資金調達するため、Oracleは債務と株式の発行を組み合わせてさらに400億ドルを調達する計画である。この支出計画により、Oracleは最大規模のハイパースケーラーであるAmazon、Microsoft、Google、Metaと並ぶこととなる。これらの企業はいずれも過去2年間でAIインフラ投資を急激に拡大させているが、Oracleはこれよりはるかに小規模な収益とキャッシュフロー基盤からこの建設を進めている。
フリーキャッシュフローの悪化
Oracleのフリーキャッシュフロー赤字は2026会計年度に237億ドルにまで急激に拡大した。前会計年度の赤字はわずか3億9400万ドルであり、同社のインフラ投資コミットメントの規模を浮き彫りにする劇的な悪化である。この悪化はタイミングのミスマッチによってさらに深刻化している。資本投入の大半が、2027年に開始予定のOracleとOpenAIによる3000億ドル・5年間のクラウドコンピューティング契約から期待される収益に先行しているためだ。
同社の戦略は、AIインフラへの多額の先行投資が時間の経過とともに収益をもたらすという期待を中心に構築されている。OpenAIとの契約は記録上最大規模のテクノロジー契約の一つであり、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)を最も著名なAI研究所の1つに対する主要なコンピューティングプロバイダーとして位置づけるものである。これはクラウドインフラ市場においてAWSやMicrosoft Azureとの競争上の格差を縮めるための取り組みを意味する。
Oracleの株価は以前、2025年9月に約345ドルの史上最高値に達していた。同社の時価総額は一時約9000億ドルに迫ったが、現在は約5070億ドル付近にあり、6月11日の売り圧力以前の約5790億ドルから下落した。
バリュエーションの圧力
Oracleは現在、前方利益の約24.5倍で取引されている。これは急速に拡大するキャッシュバーンを抱える企業にとっては割高と見る市場参加者もいるプレミアム倍率であり、特により豊富な財務資源と多様化された収益源を持つAmazonやMicrosoftなどの大規模なクラウド競合他社と比較するとその傾向が顕著である。投資家にとっての懸念は、AI需要の伸びが予想より遅かった場合や、OpenAI契約の条件が5年間の期間中に変化した場合に、Oracleがバランスシートを損なうことなくこの水準の支出を維持できるかどうかである。
広範な市場への影響
この下落はOracleにとどまらず、より広範なテクノロジーセクター全体のセンチメントを重くし、欧州のIT株も連れ安となった。この反応は、業界全体における大規模なAIインフラコミットメントのリターン特性に関する幅広い市場の議論を反映しており、投資家は短期的な資本集約的な支出が長期的な収益期待によってどの程度正当化されるかを見直している。
OpenAIとの契約はOracleのAIインフラ戦略の柱である。3000億ドル・5年間の契約は、長期にわたる持続的な資本投資を正当化し得るものだが、この規模の契約は集中リスク、実行上の課題、そしてAI需要の予測が想定通りに実現するかどうかの不確実性も伴う。