米国・カナダの雇用統計を控え、8月版非農業部門雇用者数に市場の注目が集まる
重要ポイント
- •2年物米国債利回りは2bp上昇して4.35%となり、雇用統計を控えたポジション調整は通貨ではなく金利予想に集中していることを示している。
- •ウォラーFRB理事は、大きなサプライズがない限り雇用統計を考慮しないと述べ、当局者が労働データの全体的な軌道を重視している姿勢を反映した。
- •非農業部門雇用者数の増加幅が+10K前後以下なら、FRBが利上げを見送るとの織り込みに市場が傾く可能性がある。8月データは歴史的に季節性の歪みと大きな改定を受けやすい。
- •61.4%という米国の労働力参加率は構造的な懸念であり、参加率の低下は失業率が低下しても雇用の弱さを覆い隠しうる。
- •カナダ銀行は今週政策金利を維持したが、年末までに利上げが織り込まれており、7月の+75.1Kの雇用増により、当日の統計が予想を下回っても経済見通しは変わりにくい。

雇用統計の金曜日を前にした最終カウントダウンが進んでおり、米国とカナダの雇用統計がまもなく発表される。
USD/JPYは引き続き注目の焦点で、アジア時間にさらなる混乱があった後、前日の安値から100pips以上上昇して推移している。マクロトレーダーは統計発表後、この通貨ペアを避ける可能性が高いとみられる。
それ以外の市場は概ね平穏だ。ユーロは当日2pips安の1.1622で、為替市場の多くが同様の展開となっている。一方、債券市場は様相が異なり、2年物利回りは2bp上昇の4.35%で当日高値圏で推移している。これは、統計発表を前にしたポジション調整が通貨ではなく金利予想で表明されていることを浮き彫りにする動きである。
FRBのウォラー理事は昨日、大きなサプライズがない限り自身の考えにおいて雇用統計を考慮しないと述べ、この姿勢が大きな影響を及ぼすだろう。これは今サイクルの広範な傾向を強調するものだ。FRB当局者は個々の数値よりも労働データの全体的な軌道をますます重視しているが、市場は依然として各発表に極めて敏感である。それでも、これは米国の月次経済指標の中で最も注目される非農業部門雇用者数であり、統計の賃金部門にはFRBが注視するインフレ圧力の兆候が含まれている。
非農業部門雇用者数の予習記事では、数値と8月データに見られる季節性バイアスを掘り下げている。8月の雇用統計は歴史的に季節的な雇用パターンによる歪みを受けやすく、当初発表値が大きな改定を伴いやすい理由もそこにある。増加幅が+10K前後以下となれば、FRBが利上げを見送るとの見方に市場が傾く可能性があるが、改定値により不確定要素は多い。次回会合が中間選挙の時期と重かるため、政治的な力学が生じる可能性もある。
また、61.4%という労働力参加率は米国経済の課題であり、さらなる悪化があれば注目度は高まるだろう。ただし、これは長期的な問題であり、市場を動かす要因ではない。参加率が低下すると、就業者数が減っても失業率が低下しうるため、雇用増の見かけの数値が労働市場の基調を過大評価する一因となる。
カナダについては、カナダ銀行が今週政策金利を維持したが、年末までに利上げ(そしてやや上振れ)が完全に織り込まれている。最近の雇用統計は良好で、USMCAをめぐる最新の対立がデータに影響するのは9月以降とみられる。最近のカナダのデータには過大達成の面があるとみられるが、7月の+75.1Kという数値は、経済見通しの再考なしで当日の統計が市場予想を下回る余地を大きく与えている。ただし、カナダドルはカナダ銀行の金利予想の変化に敏感に連動しているため、圧力要因となりうる。