ニュース株式三井E&S、アンモニア二元燃料エンジンと燃料供給システムを商用段階へ

三井E&S、アンモニア二元燃料エンジンと燃料供給システムを商用段階へ

著者: Ship & Bunker·

重要ポイント

  • 三井E&Sは2026年8月20日、アンモニア二元燃料エンジンとアンモニア燃料供給システムの商用化が完了し、実船への供給が可能になったと発表した。
  • 7S60ME-C10.5-LGIA-HPSCRエンジンと燃料供給システムの統合陸上試験は2026年2月に完了し、ClassNKの立会いの下で実施され、NOx認証によりMARPOL附属書VIに基づくIMO要件への適合が確認された。
  • エンジン型式の「HPSCR」は、アンモニア燃焼に伴うNOx排出を抑制する後処理技術である高圧選択触媒還元(高圧SCR)方式を指す。
  • 三井E&Sは、EverllenceおよびWinGDライセンスのエンジンに対応する燃料供給システムの試験設備を拡充し、アンモニア燃料船への需要拡大に備えて量産体制の構築を計画している。
  • アンモニアは燃焼時にCO2を排出せず、世界の温室効果ガス排出量の約3%を占める海運業の脱炭素化に向けたバンカー燃料の候補とされており、2050年頃までのネットゼロを目指す2023年のIMO戦略が関心を後押ししている。
三井E&S、アンモニア二元燃料エンジンと燃料供給システムを商用段階へ

日本の三井E&Sは2026年8月20日、アンモニア二元燃料エンジンおよびアンモニア燃料供給システムの商用化を完了し、実船向けに同機器を供給できるようになったと発表した。

この節目は、三井E&S・Everllenceによるアンモニア二元燃料エンジン(7S60ME-C10.5-LGIA-HPSCR設計)とその燃料供給システムの統合陸上試験が2026年2月に完了したことに続くものである。Everllenceのライセンスの下で2ストローク船用エンジンを製造する三井E&Sは、開発プログラムの一環として、これまでに日本でアンモニアエンジンおよび燃料システムの試験を開始していた。

試験は日本の船級協会であるClassNK(日本海事協会)の立会いの下で実施され、エンジンおよび燃料供給システムの両方の性能が確認された。三井E&Sによれば、試験は船級規則に沿って完了しており、NOx認証によりIMO要件への適合が確認された。このIMO要件とは、MARPOL附属書VIの枠組みの下で船用エンジンに適用される窒素酸化物の排出規制である。エンジン型式の「HPSCR」は高圧選択触媒還元(高圧SCR)方式を指し、アンモニア燃焼に伴うNOx排出を抑制するための後処理技術である。

三井E&Sはまた、EverllenceライセンスおよびWinGDライセンスのエンジンの両方に対応するため、燃料供給システムの試験設備を拡充しており、アンモニア燃料船への需要の拡大に備えて量産体制の構築も計画している。

今回の商用化は、船用燃料としてのアンモニアにとって前進を意味する。アンモニアは炭素を含まないため、燃焼してもCO2を発生しない。このため、世界の温室効果ガス排出量の約3%を占める海運業の脱炭素化に向けたバンカー燃料の候補とみられているが、その毒性とNOxの生成により、慎重な取り扱いと後処理が求められる。また、アンモニアは自己着火温度が高く、従来の船用燃料に比べて火炎の燃焼速度が遅いため、この種の二元燃料エンジンでは従来燃料をパイロット噴射して着火する。Everllenceは旧MAN Energy Solutionsの船用エンジンメーカーであり、WinGD(Winterthur Gas & Diesel)はスイスに拠点を置く2ストローク船用エンジンの設計企業である。

アンモニアをはじめとする代替燃料への関心は、2023年に採択された国際海事機関(IMO)の温室効果ガス戦略によって高まっている。同戦略は、2050年頃までに国際海運からの排出をネットゼロにすることを目標とし、2008年比で2030年までに20~30%、2040年までに70~80%の排出削減という指針となる中間目標を設定している。