億万長者たちが増税に反対する中、ジェンスン・フー氏は80億ドルの納税を「特権」と表明——「貧しくなることだけが怖い」
重要ポイント
- •カリフォルニア州のプロップ40は、資産10億ドル超の住民に一時的な5%の税を課し、歳入は医療と教育に充てられる。
- •反対派は3億4000万ドル以上を調達し、法案否決に向けた運動に1日100万ドル以上を投じている。
- •ピーター・ティール氏やマーク・ザッカーバーグ氏をはじめ複数の億万長者がカリフォルニアを離れており、ラリー・ペイジ氏、セルゲイ・ブリン氏、トラヴィス・カラニック氏は2026年1月1日の居住要件期日前に事業体や居宅を移した。
- •純資産1800億ドルで世界第9位の富豪であるジェンスン・フー氏は、5年間で80億ドルの納税を見込んでおり、貢献できることを特権と捉えている。
- •プロップ40を支持する一方、フー氏はビル・ゲイツ氏が提唱するロボットやAIトークンへの課税には懐疑的で、生産的な人々の社会還元にはさまざまな方法があると述べている。

カリフォルニア州は、自らの企業で数十億ドルの富を築いた起業家たちの拠点であり続けてきた。しかし、富裕層を対象とした増税が検討されるなか、州を去る者も出ている。そんな中、NvidiaのCEOで長年カリフォルニア在住のジェンスン・フー氏は、自らの負担分を喜んで払う姿勢を示している。
「税金を払うことは構わない。稼げば稼ぐほど税金は増える。それは問題ない」とフー氏は最近、CBS Sunday Morningのインタビューで語った。「私こそがアメリカンドリームの体現だ」。
プロップ40をめぐる州ぐるみの攻防
Googleの共同創業者セルゲイ・ブリン氏や元CEOエリック・シュミット氏をはじめとする億万長者たちは、カリフォルニア州のプロップ40——資産10億ドル超の住民に一時的な5%の税を課す住民投票法案——に対する運動を展開している。州はこの税によって数年にわたり数百億ドル規模の一時的な歳入が見込め、医療と教育に充てと期待している。法案の行方はカリフォルニア州の有権者の手に委ねられている。
一方、カリフォルニアの超富裕層の一部は反撃に出ている。ガーディアン紙によれば、テック系億万長者たちはプロップ40を否決するための運動で3億4000万ドル以上を調達し、1日100万ドル以上を費やしている。また、パランティアのピーター・ティール氏やMetaのマーク・ザッカーバーグ氏などは、すでに税制がより有利な地域へ州外に移っている。
純資産1800億ドルを誇る世界第9位の富豪であるフー氏は、州を去る者たちには加わっていない。世界最大の半導体企業のトップである同氏は、自らの成功はアメリカが与えてくれた機会——高度な教育を受け、新しい会社を興し、夢を追い、「Nvidiaを可能にしてくれた人々」と出会えたこと——なしにはあり得なかったと語ってきた。数百万人が夢見る成功物語を生きた同氏は、自らの野心を育んだ同じシステムに還元することを厭わないのだ。
「5年間で80億ドルの税金を払えるという事実は、特権です」とフー氏は続けた。「税金を払うのは怖くない。貧しくなることだけが怖い」。
FortuneはNvidiaにコメントを求めた。
億万長者たちの流出の中、フー氏は「留まる」よう呼びかけ
「億万長者に公正な負担を求める法案(Make Billionaires Pay Their Fair Share Act)」は3月にロ・カンナ下院議員(民主党・カリフォルニア州)とバーニー・サンダース上院議員(民主党・バーモント州)によって提出された。カリフォルニア州のプロップ40とは別の連邦法案だ。プロップ40の居住要件となる2026年1月1日の期日を前に、多くの億万長者が州を去った。Googleの共同創業者ラリー・ペイジ氏とブリン氏は事業体をフロリダ州とネバダ州へ移し、Uber元CEOのトラヴィス・カラニック氏はオースティンへ居を移した。有権者が法案を承認した場合、この期日時点での居住状況が課税対象かどうかを決めることになる。
対照的に、フー氏は移住という発想を一顧だにしていない。「一度も考えたことすらありません」と同氏は述べている。
むしろ同氏は、ゴールデンステートに暮らす利点を率直に語り、他の人々にもカリフォルニアを永住の地とするよう呼びかけてきた。「みんなに言っています。『カリフォルニアに来て、出ていくな』と。世界で最も税金が高いけど、それでいい」とフー氏は今年、スタンフォード大学経営大学院で語った。
同氏の言うように、カリフォルニアは温暖な気候に加え、イノベーションの温床でもある。Nvidiaのオフィスはシリコンバレーの中心部サンタクララにあり、同氏いわく「人材プールがある」場所だ。同氏の見解では、このテックハブに拠点を構えるのは選択の結果であり、そこで事業を営むことに伴う税金については「仕方ない」という。
ただし、フー氏があらゆる課税に賛成なわけではない。プロップ40には問題を感じていないものの、企業のロボットやAIトークンに課税すべきかには懐疑的だ。マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏はこの構想を推進してきた。同氏は、こうしたツールを課税対象外としながら雇用主が人間の賃金に対する雇用主負担税を払い続ければ、企業が人間を機械に置き換えるインセンティブになると主張している。これに対しフー氏は、自らの「処方箋は少し違うものになる」と述べた。
「私は税金には賛成です」とフー氏は今年、Fox BusinessのThe Claman Countdownのインタビューで語った。「生産的な人にとって、税金は社会と経済に還元する素晴らしい手段だと思います。ただ実際のところ、この問題へのアプローチはおそらくいろいろあるでしょう」。
この記事はもともとFortune.comに掲載されたものです。