Firmus、オーストラリア史上重要のIPOで437億豪ドルの評価額を公募へ
重要ポイント
- •Firmus TechnologiesはIPO価格を1株11豪ドルに設定し、最大71億豪ドルの調達を目指し、オーストラリア証券取引所で約437億豪ドルの株式評価額を狙っています。
- •2026年10月22〜23日頃に予定される上場は、1997年のテルストラ上場に次ぐ豪史上2位のIPOとなる見込みです。
- •同社はオーストラリアとシンガポールでNvidia GPUを活用したAIデータセンターを構築し、インドネシアで施設を開発中で、マレーシア進出も検討しています。主要顧客にMetaとOpenAI、投資家にNvidia、Blackstone、Coatue、Jane Streetが含まれます。
- •Firmusはデータセンターの完全稼働後5年以内に年間約50億米ドルの収益を見込んでいますが、当期上半期には7,700万豪ドルの損失を見込んでいます。
- •主なリスクとしては、未完成施設の実行、企業価値約600億豪ドルに含まれる約300億豪ドルの負債、MetaとOpenAIによるAI計算支出の継続への依存が挙げられます。

Firmus Technologiesは、AIデータセンタービジネスに437億豪ドルの評価額を付すようオーストラリアの投資家に求めており、このIPOは同国史上最大級の規模となり、公開市場の投資家に現代のAI開発を支えるインフラへの直接的なエクスポージャーをもたらすことになります。
このAIインフラ事業者はIPOの株式価格を11豪ドルに設定し、オーストラリア証券取引所(ASX)で最大71億豪ドル(約50億米ドル)の調達を目指しています。上場は2026年10月22〜23日頃に予定されています。実現すれば、1997年のテルストラ上場(当時国有だった同国の電気通信事業者の民営化の始まりとなった)に次ぐ、オーストラリア史上2位のIPOとなります。
この節目には但し書きが伴います。Firmusは2019年に設立され、上場前の段階でも損失を見込んでいます。
語られる数字の裏側
同社は約437億豪ドルの株式評価額を目指しています。約300億豪ドルの負債を含めると、企業価値は約600億豪ドルになります。
IPOを控えた当期上半期に、Firmusは7,700万豪ドルの損失を見込んでいます。同社によれば、各施設が完全稼働すれば、5年以内に年間約50億米ドルの収益を見込んでいます。
Firmusの事業内容
Firmusは、AIの「ファクトリー」と呼ぶ施設を構築・運営しています。これは、現代のAIモデルの学習・実行に用いられるNvidiaのGPUを中心とした高度なデータセンターです。この種の計算能力への需要により、データセンター開発はテクノロジー業界で最も競争の激しい分野の一つとなっており、世界中の企業がAIワークロード向けのキャパシティ確保に多額の投資を行っています。
同社はすでにオーストラリアとシンガポール事業を展開しており、インドネシアで追加の施設を開発中で、マレーシアへの進出も視野に入れています。
顧客構成は事業計画の中核です。MetaとOpenAIがFirmusの主要顧客であり、投資家も同様に著名で、Nvidia、Blackstone、Coatue、Jane Streetがいずれも出資しています。Nvidiaの関与は二面的です。Firmusの施設の中核となるGPUを供給すると同時に、同社の出資者の一つでもあります。
投資家にとっての意味
同社の成長前提、特に未だ建設されていない施設に伴う実行リスクについて、疑問がすでに浮上しています。
大幅な負債がその圧力に拍車をかけます。企業価値に約300億豪ドルの借入が織り込まれており、許容誤差は限られています。
顧客集中ももう一つのリスク要因です。投資案件のかなりの部分が、MetaとOpenAIが計算能力にどれだけ支出を続けるかにかかっています。
10月下旬の上場を前に、投資家が注目するのは11豪ドルの公募価格での株式需要、71億豪ドル全額の調達達成の可否、そして未完成施設の建設スケジュールに関する新たな情報です。このスケジュールこそが、5年以内に年間約50億米ドルの収益という同社の見通しを支えるものです。