ニュース株式ElevenLabs、自社のAIエージェントを販売・採用・社内サポートに本格展開

ElevenLabs、自社のAIエージェントを販売・採用・社内サポートに本格展開

著者: CryptoBriefing·

重要ポイント

  • •ElevenLabsの受注窓口営業エージェントは、今年3,000件超の顧客リードを処理し、その90%超を人手を介さずに32言語で資格審査した。
  • •社内のAIエージェントは2026年10月遅くまでに、合計で月1,200時間超の作業時間を削減し、月5,000件超の問い合わせに対応する一方、150件以上のサポート・エンジニアリングチケットを発生させている。
  • •営業資格審査に加え、ElevenLabsはAIエージェントを新しい営業担当者の指導、一次面接の実施、Slackでの従業員の質問対応にも活用している。
  • •社内展開はElevenAgentsプラットフォーム上で動作しており、これはElevenLabsがエンタープライズ顧客に販売する会話型エージェント製品と同一だ。
  • •ElevenLabsの評価額は7か月で倍増し、2026年2月のシリーズDでの110億ドルから、2026年9月の従業員向けテンダーオファーでは220億ドルとなった。
ElevenLabs、自社のAIエージェントを販売・採用・社内サポートに本格展開

ロンドン拠点のAI音声スタートアップElevenLabsは、自社製品を自社内で活用し、営業資格審査、従業員オンボーディング、採用、社内サポートを自社のAIエージェントで運用している。初期の数値は見過ごせないものとなっている。

同社の受注窓口営業エージェントは、今年3,000件超の顧客リードを処理し、その90%超を32言語で人手を一切介さずに資格審査した。この営業ボットは複数あるエージェントのひとつにすぎない。ElevenLabsは、AIエージェントを使って新しい営業担当者の指導、一次面接の実施、Slackでの従業員の質問対応も行っている。この展開により、同社はエンタープライズ顧客に販売しているのと同じ技術で中核業務を運用するAI企業の顕著な事例となっている。

一部を自社製品で賄う企業

代表的な例が受注窓口のセールス・デベロップメント・レプリゼンタティブ(SDR)エージェントだ。典型的なソフトウェア企業では、SDRは新規問い合わせに応答し、見込み客が本気かを判断し、クローザーに引き継ぐかを決める役割を担う。ElevenLabsは、この一次フィルターをソフトウェアに委ねた。今年は3,000件超のリードがこのエージェントを経由し、人が会話に触れることなく90%超が資格審査を通過した。

32言語という数字は、一見以上に重要だ。32言語のリードに対応できる人間の営業チームを編成するには、地理的に分散した大規模なチームが必要になる。このエージェントは単一のデプロイメントでそれを実現している。

2つ目のエージェントは、新しい営業担当者のスパーリングパートナーとして機能する。顧客役を演じることで、入間したばかりの担当者がセールストークや反論対応の練習をでき、ElevenLabsによると、この層のオンボーディングが加速したという。

3つ目のエージェントは、求職者との一次面接を担当する。採用スクリーニングは反復的で時間がかかり、数週間先まで予約が埋まることが多いため、最初の面談をエージェントに移すことで、人間のリクルーターは後の面接に集中できる。

さらに社内ヘルプデスクもある。同社のSlackワークスペースでは、複数のエージェントが社内プロセスに関する従業員の質問に応答している。

社内展開を支える数字

同社に関する調査結果によると、社内エージェントは2026年10月遅くまでに、合計で月1,200時間超の作業時間を削減していた。また、月5,000件超の問い合わせに対応し、150件以上のサポートおよびエンジニアリングチケットを発生させている。

このチケット数は示唆に富む詳細だ。エージェントが単に質問に答えて終わらせているのではなく、問題を解決すべき人間へ振り分けていることを示している。

エージェントはElevenLabsのElevenAgentsプラットフォーム上で動作しており、これは同社が外部の企業に販売している会話型エージェント製品と同一だ。このため、月間の削減時間や問い合わせ件数は単なる社内効率の指標にとどまらない。販売企業の内部で生成された、プラットフォーム自体の稼働実績としての意味も持っている。

Alex Holtは2026年6月にField CTOとして入社し、Palantirでの経験をもたらした。彼の業務は、同社の製品ラインアップの拡充と、コンタクトセンター基盤——大規模なカスタマーサポート部門がすでに運用しているシステム——との統合構築に中心が置かれている。コンタクトセンター関連の取り組みは、社内と社外のストーリーが交わる領域だ。ElevenLabsが社内で使っているプラットフォームは、大規模なカスタマーサポート部門がすでに運用しているシステムに組み込まれつつあるものと同一なのだ。

急上昇する企業評価

2022年に創業し、ロンドンに本社を置くElevenLabsは、AI生成音声で名を上げ、その後エンタープライズ向けの音声・チャットエージェントへと事業を拡大した。

投資家はこの成長軌道に資金を投じている。同社は2026年2月に評価額110億ドルで5億ドルのシリーズDを調達した。7か月後の2026年9月には、3億ドルの従業員向けテンダーオファーにより、企業評価は220億ドル——2月の倍——となった。

従業員向けテンダーオファーにより、従業員は会社が上場することなく保有株の一部を投資家に売却できる。初期従業員には持ち分の一部を現金化する手段が与えられ、市場には企業の新たな価格評価がもたらされる。

顧客リストがこの信頼を裏付けている。Deutsche Telekomやウクライナ政府も、ElevenLabsの技術を利用している組織に含まれる。今後注目すべき数字は運営面のものだ。社内エージェントが月に削減する時間、処理する問い合わせ、発生させるチケットの数が、7か月で倍増した評価額と対比されることになる。