ニュースマクロ2026年秋学期:金融システム(とその課題)

2026年秋学期:金融システム(とその課題)

著者: Econbrowser·

重要ポイント

  • 暗号資産とプライベートクレジットは昨年、Econbrowserの金融システムに関する講義内容に追加された。
  • 提案テーマの一つは、ドルの基軸通貨としての役割に結びついた米国の長年の「過剰な特権」が揺らぐ可能性について。
  • 記事はカリフォルニア州やフロリダ州などでの気候変動関連の保険更新拒否を取り上げ、一部の住宅所有者が州が支援する最後の受け皿の保険機関へ移行していると指摘している。
  • Climate Centralによる10億ドル災害の集計を引用し、NOAAの連邦政府による追跡事業が2025年に廃止されたことに言及している。
  • もう一つの提案テーマは、現在の市況が資産バブルなのか景気拡大なのかを問うもので、その枠組みの出典としてロバート・シラーが挙げられている。
2026年秋学期:金融システム(とその課題)

2026年秋学期の開講が近づく中、カリフォルニア大学サンディエゴ校のジェームズ・ハミルトンとウィスコンシン大学マディソン校のメンジー・チンが共同編集する経済学ブログ「Econbrowser」は、金融システムに関する講義内容を更新し、シラバスに新たに追加すべきトピックを読者に求めている。

筆者は、昨年の講義内容には暗号資産とプライベートクレジット――後者は、銀行や公募債市場の外で企業向け融資の供給源として急成長した市場である――が追加されたことに触れ、「この秋は何を追加すべきか」と直接的に問いかけている。

今学期に向けて取り上げられた候補テーマは以下の通りである。

「過剰な特権」の浸食。「過剰な特権(exorbitant privilege)」は国際金融における長年の概念であり、この表現は一般に1960年代のフランス財務大臣ヴァレリー・ジスカール・デスタンに由来するとされる。米ドルが世界の支配的準備通貨として担う役割から米国が歴史的に享受してきた優位性――自国通貨建てで財政赤字をファイナンスできる能力を含む――を説明するものであり、その潜在的な浸食が本講義のテーマとして提起されている。

**気候変動に伴う保険の更新拒否。**記事では、気候変動に起因するコストの増大の中で、米国各州における保険の更新拒否率や保険契約を地図上に可視化したニューヨーク・タイムズのインタラクティブ記事(NYT)にリンクが張られている。保険会社はカリフォルニア州やフロリダ州といった高リスク市場で保証を縮小しており、より多くの住宅所有者が州が支える最後の受け皿となる保険機関へと移行している。住宅ローンの貸し手は物件の保険加入を前提とするため、こうした保険の撤退は住宅市場への影響を伴う。

**10億ドル災害と高まる気候コスト。**筆者はClimate Centralの10億ドル災害データ(Climate Central、2026年8月17日アクセス)を引用し、「このデータは、トランプ2.0以前は米国政府から提供されていた」と指摘している。これはNOAA(米国海洋大気圏局)国立環境情報センターのことを指しており、同センターは1980年から10億ドル規模の気象・気候災害を追跡してきたが、2025年にこの追跡事業は廃止された。現在はClimate Centralなどの非営利機関がこうした統計を集計している。

**資産バブルか、それともブームか?**最後の項目は開かれた問いとして提示されており、出典はシラーとされている。イェール大学の経済学者で2013年のノーベル経済学賞受賞者であるロバート・シラーは、株式市場評価の長期指標として広く注目される循環調整済み株価収益率(CAPEレシオ)で最もよく知られている。また、2000年の著書『不理性の繁栄(Irrational Exuberance)』で投機的過熱のエピソードを記録したほか、ケース=シラー住宅価格指数の共同開発者でもある。

出典:Econbrowser