シティグループCEOジェーン・フレイザー、AIによるサイバーリスクの高まりを警告
重要ポイント
- •シティグループCEOのジェーン・フレイザーは、7月のサウスチャイナ・モーニング・ポストとのインタビューで、人工知能が2026年の銀行経営者にとって最大の懸念であると述べた。AIは銀行業のイノベーションと新たな詐欺の両方を促進している。
- •2026年1月に金融セクターのリーダー252名を対象とした調査では、AIを活用したソーシャルエンジニアリングが業界最大のサイバーセキュリティ上の懸念となっており、従来の評価から16ポイント上昇した。
- •シティグループは、不正検知、リスク管理、業務効率化のために、世界の約18万人の従業員にAIツールを展開している。
- •2026年3月、シティは2026年から2030年の期間における世界のAI資本支出見通しを、従来の8兆ドルから8.9兆ドルへと引き上げた。
- •米国、欧州連合、アジアの金融規制当局は大手銀行におけるAI関連リスクへの注視を強めており、フレイザーの発言は、より厳格なAIリスク開示やストレステストの枠組みに向けた動きを加速させる可能性がある。

シティグループCEOのジェーン・フレイザーは、2026年に銀行経営者を眠れなくさせているものを二言葉で要約できると言う。人工知能(AI)だ。7月のサウスチャイナ・モーニング・ポストとのインタビューで、フレイザーは、金融機関が現在直面している最大の緊張関係を明らかにした。次世代の銀行業を支える技術こそが、次世代の詐欺をも支えているというのだ。
フレイザーによれば、銀行は自らの業務にAIを導入する競争を続けながら、同時に、詐欺、マネーロンダリング、サイバー攻撃を含むAIを活用した脅威からシステムを強化するために多大なリソースを投入しなければならないという。
銀行セクターにおける二正面作戦
2026年1月に金融セクターのリーダー252名を対象とした調査では、AIを活用したソーシャルエンジニアリングが業界最大のサイバーセキュリティ上の懸念となっており、従来の評価から16ポイントの上昇を記録したことが明らかになった。
ソーシャルエンジニアリング攻撃は、人を操作して認証情報やアクセス権を手放させる手口で、AIが声を模倣し、文体を複製し、大量にパーソナライズされたフィッシング攻撃を仕掛けられるようになると、説得力が劇的に高まる。
シティグループは、世界の約18万人の従業員にAIツールを展開しており、不正検知、リスク管理、業務効率化に同技術を活用している。この規模により、同行はフレイザーが描いた溝両側に立つ存在となっている。すなわち、AIを大規模に導入すると同時に、調査が指摘したAIを活用した脅威と同種のものからの防御も迫られるのだ。
フレイザーはまた、この技術が一部の仕事を失わせる一方で新たな仕事を生み出すことも認めたが、この変化を大惨事ではなく純粋な進化として位置づけた。
8.9兆ドル、その先へ
2026年3月、シティは2026年から2030年の期間における世界のAI資本支出見通しを、従来の8兆ドルから8.9兆ドルへと引き上げた。この修正は、企業の導入が加速している速さと、自律型AIシステムがパイロット段階から中核インフラへと移行している速さを反映している。このビルドアウトこそが、フレイザーが述べたセキュリティ上の圧力の背景となっている。
シティグループを超えて広がる規制の波紋
フレイザーの発言は、シティグループ自身の戦略を超えた重みを持つ。ウォール街で最も著名なCEOの一人がAIに起因するサイバーリスクを体系的な懸念として公に表明すると、取締役会や規制当局の事務所で静かに進んでいた議論が加速する傾向がある。
米国、欧州連合(EU)、アジアの金融規制当局は、システム上重要な銀行におけるAI関連リスクへの注視を強めている。フレイザーによる脅威状況の公な認識は、規制当局がより厳格なAIリスク開示やストレステストの枠組みを求める根拠を追加することになる。こうした動きが大手銀行への正式な要件として固まるかどうかが、業界がAIへの野心とAIへのエクスポージャーをどう両立させるかを占う、次に注目すべき具体的な展開である。