MIT教授が描く、AIネイティブな組織図の未来像
重要ポイント
- •MIT教授ポール・チーク氏は、人間とAIエージェント双方のシステムアクセス権、予算権限、意思決定の役割を可視化するAIネイティブな組織図の構想をCHROに提案している。
- •チーク氏のAI-Driven Enterprise Instituteの調査では、S&P 500企業の幹部でAIリテラシーを持つのはわずか30%強と判明した。
- •同じ調査によると、AIリテラシーを持つ幹部は同僚に比べ78%高いAI実行力を発揮している。
- •チーク氏がCHROに推奨する道筋は、AI研修とリスキリングへの投資から始まり、その後、各役割に人間の判断が必要かAIエージェントの能力で足りるかを見直すことだ。
- •この種の組織図を導入した企業はまだ存在しないが、チーク氏はAIを使ったプロトタイプを開発しており、最初に導入する企業を注目すべき節目とみなしている。

将来の組織図は、現在会社の壁に掲げられているものとは大きく異なる可能性がある。誰が誰に報告するかを示すのではなく、AIネイティブな組織図は、どの従業員とAIエージェントがどのシステムにアクセスでき、誰がどの予算を使え、誰がどのプロジェクトに相談されるかを可視化するものになり得る。
これが、企業がAIを人員に急速に組み込むなか、MIT教授ポール・チーク氏が最高人事責任者(CHRO)に提案しているビジョンだ。チーク氏は、HRリーダーには企業全体で人間とAIエージェントがどのように組織されるかを主導する機会があり、その変革の中心にAIリテラシーを据えるべきだと主張する。
チーク氏の独立系調査機関であるAI-Driven Enterprise Instituteの最新調査によると、S&P 500企業の幹部でAIリテラシーを持つのはわずか30%強だった。同調査によれば、この層は同僚に比べ78%高いAI実行力を発揮している。残りの約70%の幹部はこの比較対象のグループであり、チーク氏が最初のステップだとする研修とスキルアップの対象となる層でもある。
チーク氏によれば、CHROの第一歩は幹部と従業員へのAI研修とリスキリングへの投資であり、次に組織図そのものを見直すことだという。
「CHROという役職自体、人員管理から、特定の役割に人間の判断が必要なのか、それともAIエージェントの稼働時間で足りるのかを監査するものへと変わる必要がある」とチーク氏は言う。
チーク氏のモデルでは、組織図は動的で生きた文書となり、AIエージェントが追加・退役されたり、エージェントが自らエージェントを生み出したりするたびに更新される。ソーシャルメディアアカウントからSalesforceに至るまでのアクセス権、支出権限、意思決定の責任範も追跡される。このモデルでは、誰が—何が—企業内で行動できるかを監査することが組織図の中核機能となり、エージェントが他のエージェントを名簿に追加するほど拡大していく。
チーク氏は、この種の技術的に高度な組織図を導入した企業をまだ見つけられていないことを認めている。ただし、AIならその作成を支援できると考え、実際にAIを使って自らプロトタイプを開発した。現時点でこの構想は提案とプロトタイプの段階にあり、最初に導入する企業が注目すべき節目となる。
チーク氏のCHROへの提言は3つある。AIの仕組みを学ぶこと、そのスキルを会社全体に広めること、そしてどの仕事を人間が行い、どの仕事をAIが行うべきかを再考することだ。この役割を引き受けるCHROは、「組織で最も影響力があり、最も重要な戦略的リーダーとして突如表舞台に現れる」だろうと同氏は述べている。
本記事は、Kristin Stoller(Fortune Live Media編集ディレクター)によって執筆され、2026年9月28日にFortune.comで最初に公開された。出典:AIネイティブな組織図の姿とは。