Zcash共同創設者Sean Bowe、ブロック補助金の8%をネットワーク持続可能性基金へ振り替える提案
重要ポイント
- •Sean Boweの草案ZIPは、現在Zcash Community Grantsに支払われているブロック補助金8%の配分をNetwork Sustainability Mechanismリザーブへ振り替え、グラント受給者に発行するのではなく流通外で保有することを提案しています。
- •この提案のもとで、ZCGは新規グラントの承認を停止し、金庫から既存のマイルストーンの支払いを継続したうえで、残りの資金は最終的にNSMへ移されます。
- •提案はガバナンスの摩擦に対応するもので、グラント配分に対するコインホルダーの統制力や、委員会の決定がこれまでのコインホルダー投票から逸脱しているのではないかという懸念が中心です。
- •ZCGは約91,453 ZECに加えて現金を保有し、保有額は数千万ドルから1億ドル超と推定される一方、2026年第1四半期の費用約153万ドルは年換算で約610万ドルに相当します。
- •2026年10月27日時点で草案はコミュニティ審査中であり反応は分かれています。提案は、2026年11月5日頃に予定されるNSMの初期の手数料リザーブの仕組みを導入するNU7アップグレードと並行して存在します。

Zcashの共同創設者兼プロトコル開発者であるSean Boweが、ネットワークの主要な資金供給経路の一つを停止する計画を打ち出しました。2026年10月26日、Boweは、現在Zcash Community Grants(ZCG)に流れているブロック補助金8%の供給を終了し、その価値をNetwork Sustainability Mechanism(NSM)リザーブに振り替え、グラント受給者への支払いではなく流通外で保有する草案を提出しました。
提案の内容
Boweはこのアイデアを草案ZIP(Zcashにおける正式な改善提案に相当)として公開し、同じ日にコミュニティフォーラムにも投稿しました。
仕組みは非常にシンプルです。8%の配分をグラント受給者に発行する代わりに、プロトコルはその価値をNSM Value Balanceに計上します。調査資料では、これにより即時の発行も使用可能な出力も生じないと説明されており、コインは実質的に計上されつつも棚上げされます。
この計画のもとでZCGが一夜にして消滅することはありません。グラント団体は新規グラントの承認を停止する一方、既存のマイルストーンの支払いは金庫から継続して行います。最終的に金庫に残った資金もNSMへ移されます。
草案ZIPであるため、この計画は今後のネットワークアップグレードに反映される前に、コミュニティの審査を通過する必要があります。
現在のZcashの資金供給の仕組み
NU6およびNU6.1アップグレード以降、Zcashのブロック報酬は3つに分割されています。マイナーが80%、Zcash Community Grantsが8%、残りの12%をCoinholder-Controlled Fundが受け取ります。この仕組みは、2028年頃に予定されるネットワークの3回目の半減期まで続きます。
Boweの提案が対象とするのは8%のグラント部分のみで、マイナーの取り分とコインホルダー基金には手を加えません。
ブロック補助金によって賄われるグラント金庫は、主要なブロックチェーンエコシステム全体で広く見られる仕組みであり、その資金流を誰が管理するかをめぐる争いは、業界で繰り返されるガバナンス上の争点となっています。Zcashをめぐる議論もまさにその系譜に位置づけられます。
グラント委員会は資金に困っているわけではありません。ZCGは約91,453 ZECに加えて現金を保有しており、保有額は数千万ドルから1億ドル超と推定されています。一方、支出ペースははるかに控えめで、ZCGの2026年第1四半期の費用は約153万ドルで、年換算では約610万ドルに相当します。
なぜBoweは今この提案を出すのか
この提案はガバナンスの摩擦から生まれたものです。動機の中心にあるのは、コインホルダーがZCGの配分に対して実際にどの程度の統制力を持っているのかという懸念です。また、委員会の決定が以前のコインホルダー投票の結果から逸脱しているのではないかという懸念もあります。
この計画は、近く予定されているNU7ネットワークアップグレードと並行するものの、別個の取り組みです。NU7は2026年11月5日頃にアクティブ化される予定で、ブロック生成時間を25秒に短縮し、NSM向けの初期の手数料リザーブの仕組みを導入すると見られています。この順序は注目に値します。NU7は、Boweが資金を供給したいと考えているのと同じNSMインフラを構築するものですが、提案自体は独立した決定事項のままです。
これまでのコミュニティの反応
2026年10月27日時点で、提案は草案のままです。反応は分かれています。支持を表明するコミュニティメンバーもいれば、支持者の中にも、これほど重大な変更にはガバナンスへの影響をめぐるより幅広い議論が必要だと主張する人もいます。
ZECホルダーと開発者への影響
ZCGに依存する開発者にとって、最もし迫った問題は資金パイプラインです。既存のマイルストーンは引き続き尊重されますが、新規グラントへの扉は閉じられ、資金をめぐる議論は12%の取り分を維持するCoinholder-Controlled Fundへと一層向かうことになります。
ZECホルダーにとって、ブロック補助金の8%を流通外で保有するリザーブに振り替えることは、新規発行されるコインのうちグラント支払いを通じて市場に流通する量が減ることを意味します。
この議論がどのような結末を迎えるにせよ、Zcashのコインホルダーがネットワークの資金流に対してどの程度の直接的な発言権を持つのかを試す実地テストにもなります。それはまさにBoweの提案の核心にある問いです。