ニュース暗号資産Vitalik Buterin氏、量子耐性を備えたEthereumのプライバシー取引コストを99%以上削減する計画を提案

Vitalik Buterin氏、量子耐性を備えたEthereumのプライバシー取引コストを99%以上削減する計画を提案

著者: Decrypt·

重要ポイント

  • EIP-8288は、6月にVitalik Buterin氏とThomas Coratger氏が共同で執筆した。
  • この提案では、取引に関する主張をまとめ、Ethereumの各ブロックをカバーする再帰STARK証明を生成する。
  • Buterin氏は、量子耐性を備えたプライベート取引のコストが約1,000万ガスから数万ガスまで低下する可能性があると見積もっている。
  • Ethereumの再帰証明システムにおける共通命令セットとして、RISC-Vが検討されている。
  • EIP-8288は予定に組み込まれていないFramesの刷新案に依存しており、いずれの提案もまだフォークには割り当てられていない。
Vitalik Buterin氏、量子耐性を備えたEthereumのプライバシー取引コストを99%以上削減する計画を提案

Ethereum共同創設者のVitalik Buterin氏は、将来のネットワークアップグレードで、量子耐性を備えたプライベート取引のコストを99%以上削減できる可能性がある提案を支持している。

6月にThomas Coratger氏と共同で執筆したEIP-8288は、量子耐性を持つ署名とSTARK証明を、Ethereumの各ブロックにつき1つの証明にまとめるものだ。草案段階のこの提案は、最も負荷の大きい暗号処理をネットワークの実行経路から移すことを目指している。

ポスト量子署名は現在、約2〜3キロバイトで、検証には150,000〜200,000ガスが必要となる。STARK証明はさらに大きく、128キロバイトを超え、短時間で生成する場合には最大512キロバイトに達するため、検証コストは数百万ガスに及ぶ。

Buterin氏によると、十分に設計されたプライベート取引の現在のコストは約300,000ガスだが、量子耐性を持たせると約1,000万ガスに上昇する。EIP-8288の下では、両方のバージョンを数万ガスに抑えられる可能性があるという。

この提案の詳細は、EIP-8288仕様書で説明されている。Buterin氏はXへの投稿でもこの提案について説明した。

A note on recursive STARK mempools (EIP-8288) This is an EIP that I am hoping we can get included in I-star (the fork after Hegota) that you can think of as the next step after Frames, that would unlock extreme amounts of power. Particularly: *… — vitalik.eth (@VitalikButerin) September 9, 2026

この設計では、暗号処理をオンチェーンに直接載せることを避ける。代わりに各取引は、「dependency(依存関係)」を宣言する。これは、あるメッセージが特定の鍵によって署名されたことや、あるデータが証明の条件を満たすことを示す短い主張で、各依存関係のサイズは96バイトとなる。

メンプールのノードは毎秒これらの主張を集め、すべてをまとめて証明する1つの再帰STARKを生成し、その証明を引き渡す。各ブロックには、そこに含まれるすべての取引をカバーする単一の証明が格納される。Buterin氏の元のX投稿は、https://twitter.com/VitalikButerin/status/2097711433073172837 で確認できる。

共通言語としてのRISC-V

再帰証明には、命題を表現するための共通言語が必要となる。有力候補は、チップ設計で使われるオープンな命令セット、RISC-Vだ。これを採用すれば、RISC-VはEthereumの事実上の標準命令セットとなる。

Buterin氏はこれを「大きな決定」と表現し、慎重に進めるべきだと述べる一方、必要な決定だと考えているとも話した。同氏は7月にも、Lean Ethereumロードマップの一環として同じ可能性に言及していた。このロードマップでは、3〜4年かけて主要なプロトコル構成要素のほぼすべてを再構築し、再帰STARKを中核に据える計画が示されている。

同氏は、別の用途としてプライベート・アカウント抽象化も挙げた。この方式では、アカウントのロジックをオンチェーン上で隠したまま、そのアカウントに紐づくすべてのポジションや保有資産の所有権を、どの資産が関与したかを明らかにせず、1回の取引で変更できる。

EIP-8288は、Buterin氏が日曜日に推進した取引処理の刷新案であるFramesに依存している。Frames自体もまだ予定には組み込まれていない。Buterin氏は両提案を、Hegotaの次のアップグレードであるI-starに含めることを望んでいる。同氏はI-starが、Lean時代の開始前に実施されるEthereum最後のアップグレードになると述べている。いずれの提案も、まだフォークには割り当てられていない。