David Haggith氏、予定されるPCE変更で公表インフレ率が低下する可能性を指摘
重要ポイント
- •BEAは9月に個人消費支出価格指数(PCE)を改定する予定。
- •記事中で引用されたエコノミストは、更新によりコアインフレの数値が0.1〜0.3ポイント程度低下し得ると述べた。
- •予定される算定方法の変更は、ポートフォリオ運用手数料、コンピューターソフトウェア、法律サービスに及び、これらは指数に大きな影響を与える。
- •Oxford Economicsは、金融助言手数料の新しい算定式により年間上昇率が22%から約13%に低下すると見積もった。
- •記事は、改定後の指標によってFRB当局が引き締めを回避しやすくなる可能性がある一方、インフレはなお目標を上回ると述べている。

David Haggith氏、予定されるPCE変更で公表インフレ率が低下する可能性
David Haggith
この論説によると、FRBはトランプ氏が新たに任命したFRB議長Kevin Warsh氏の下で、インフレ指標をより扱いやすくする準備を進めている。Warsh氏は、FRBの目標指標が現在よりも一貫して低いインフレを示すようにする方法を探るため、諮問パネルを立ち上げたという。
それによって数値は良く見えるかもしれないが、5年前に Jerome Powell氏が利下げと米国債購入を続け、当時一時的だと説明していたインフレ局面でより多くのマネーを生み出して以来、達成できていない目標には近づきやすくなる。著者の見方では、FRBはむしろ通貨安定という単一の使命に縮小されるべきであり、その「安定」は価格インフレ率0%と定義されるべきだという。
記事は、Warsh氏の手法は指標そのものを変えて、わずかに有利な数値を出すようにすることだと論じている。著者は、インフレ指数はすでに価格圧力を過小評価しており、それが、公式データでは実質GDP成長が小幅プラスで、インフレも中程度にとどまっているにもかかわらず、米国民が景気悪化に怒っている理由を説明していると主張する。
政府およびFRBが認める経済データではインフレは再び上昇しているが、独立データは実際のインフレが当局の認める水準よりかなり高いことを示している、と記事は述べる。
著者はまた、数値を管理しようとする過去の取り組みにも言及する。トランプ氏は昨年9月、数字が好ましくなかったとして労働統計局の長を解任し、新たな局長を据えたほか、昨年の政府機関閉鎖中には主要な月次データの公表を控えようとしたという。また、企業に四半期ごとの決算発表をやめ、年2回の報告にするよう求めたとも述べている。
現在Warsh氏は、さらに別の段階的改定を検討していると記事は伝える。FRBが好むインフレ指標の改訂が、価格全体の見通しを大きく変えなくても、今年の利上げを思いとどまらせるのに十分かもしれない。著者はこのプロセスを、世間が反応しないようにゆっくり沸騰させるカエルになぞらえている。
対象となっているのは、9月に米商務省経済分析局(BEA)が実施する個人消費支出価格指数、すなわちPCEの年次改定である。記事中で引用されたエコノミストらは、最新データに適用されれば、改定によってコアインフレが0.1ポイントから0.3ポイント近く低下する可能性があると述べた。
記事によると、FRB当局者は6月の会合で、インフレ見通しに対するリスクは依然として上振れ方向にあるとほぼ全員が一致していた。しかし、2026年に利上げが必要かどうかについては意見が割れていたため、PCEの下方修正はWarsh氏とハト派政策担当者に引き締めを回避する余地を与える可能性がある。
Wolfe Researchのチーフエコノミスト、Stephanie Roth氏は、FRBが据え置きを続ける根拠は大幅に強まったと述べた。同氏は、予定されるPCEの更新、4月から5月にかけてのイラン戦争のピーク後に最近下落した原油価格、そして最近の雇用統計が、ここ数カ月の労働市場の勢いは誇張されていた可能性を示したことを挙げた。
著者は、雇用統計が誇張されていた点には同意する一方で、燃料価格の下落が今後もインフレを押し下げ続けるという見方は退けている。イラン紛争は激化しており、イランはトランプ氏の最新の停戦案を拒否したと同氏は述べる。また、トランプ氏がイランは合意を望んで懇願していたと公に語ったのは誤りだともしている。
BEAはPCEの算定方法についていくつかの変更案を示しており、法律サービス、コンピューターソフトウェア、投資助言といった、指数への影響が大きい分野での価格測定方法を改める予定だと記事は伝えている。Citiのエコノミストは、6月30日の報告書で、予定される更新を「大きな出来事」と表現した。
Warsh氏は以前から、変動の大きい項目を除外する「トリム平均」のインフレ指標を支持してきたとも記事は述べる。著者は、FRBはすでに食料とエネルギーを除外したコアインフレを採用していると指摘し、家計はそれらの費用を自分の予算から除外できないにもかかわらず、さらに多くの項目を除外するのはなおさら行き過ぎだと主張する。
記事は、この変更が技術的な修正として報じられていると説明する。MorningstarはPCE指数の欠陥を修正するものだと表現した。著者はその説明を退け、改定はより好ましい数値を出すためのものだと論じている。
BEAの更新により、FRBが重視するコアPCEは、今年のインフレ上昇が従来の報告よりやや緩やかに見える見込みだという。推定される下方修正幅は0.2〜0.3ポイントで、5月までの12カ月間のコアPCEの前年比3.4%上昇は、3.2%または3.1%に引き下げられる可能性がある。
著者によれば、新しい方法でも、インフレはFRBの2%目標に対して依然として速すぎるペースで上昇している。それでも改定によって数値はそれほど警戒感を与えなくなるため、家計が実際に支払っている価格に注目している場合でも、FRBが使う指標は政策論議に影響を与えるという。
予定される変更は、コアPCE率の形成に関わる3つの分野、すなわちポートフォリオ運用手数料、コンピューターソフトウェア、法律サービスに及ぶ。記事では、これらの分野は価格の測定方法と指数への影響の大きさから改定されると説明している。
ポートフォリオ運用手数料については、BEAが株式市場の変動への依存度を下げるよう算定式を変更する。従来の方法では、政府は金融助言手数料が過去1年で22%上昇したと推計していた。Oxford Economicsは、新しい方法では年間上昇率が約13%に低下すると見積もっている。
記事はまた、コンピューターソフトウェア指数も更新され、重要性が増しているゲーム関連と企業向け情報技術の比重が高められると述べる。これらの分野はいずれも、従来報告より低いコンピューター関連インフレを示している。旧ソフトウェア指数では価格が前年比17%上昇しており、過去最高の伸びだった。新方式では上昇率は約10〜11%になるとみられるが、一部のアナリストはそれでもソフトウェアインフレを過大評価する可能性があると警告している。
そのアナリストらは、ソフトウェアの品質を高める人工知能に注目している。著者は、政府はすでにインフレデータで品質向上を調整しており、消費者はより多くの価値を得ているという前提から公表インフレが低下する、と指摘する。その方法論は、自動車や電子機器のような製品を、実際にはオプションだった機能が標準装備化されているにもかかわらず、よりインフレ的でないように見せるのに役立つと著者は主張する。
記事はその後、より広いインフレの見通しに話を戻し、6月のÉvian-les-BainsでのG7首脳会議の閉幕記者会見でのトランプ氏自身の発言を引用する。トランプ氏は、イランとの敵対行為を停止したのは、爆撃を続けてもホルムズ海峡は再開せず、商船は近づかず、緊急備蓄の原油は約4週間で尽きるからだと述べた。The Atlanticによれば、同氏は「遅きに失した偉大なハーバート・フーバー」にはなりたくないとも語った。
記事は、戦時下のインフレについてのより深い議論は有料購読者向けに残されており、政府が指標を調整しようとしても、今後数カ月に予想されるインフレ圧力を防ぐことはできないとして締めくくっている。
著者について
David Haggith
David Haggith氏は、The Daily Doomの発行人兼編集長であり、経済・社会・政治に関する非党派の日刊コレクションを手がけている。