Nutrafol創業者ジョルゴス・ツェティス、AI経営者への個人の法的責任を訴える
重要ポイント
- •2026年10月17日に発表されたコラムで、Nutrafol創業者にしてAI投資家のジョルゴス・ツェティス氏は、安全上の失敗が被害をもたらした際にAI企業の経営者が個人の法的責任を負うべきだと呼びかけた。
- •ツェティス氏によれば、サプリメント法が経営者に製品の安全性について個人的な責任を課していたNutrafolを構築した経験は、個人の説明責任がイノベーションを阻害することなく消費者の信頼を強化しうることを示している。
- •現行のルールでは、経営者がリスクの高いAIの決定から個人的に利益を得る一方、企業が限定的な金銭的制裁を負担し、責任が単なる経費と化していると同氏は主張した。
- •9月末に署名されたホワイトハウスの安全に関する合意や、米国の州・連邦レベルで待機中のAI法案を歓迎しつつ、これらの措置は自主的または未成熟であり、経営者を個別に縛るものではないと強調した。
- •リスクを承知でシステムを出荷する者、安全チームへの資金提供を怠る者、問題を隠蔽する個人には結果が及ぶべきだとしつつ、責任ルールの設計は立法者、法律家、技術者、倫理学者に委ねられるべきだと述べた。

育毛サプリメント企業Nutrafolの創業者で、現在は人工知能(AI)ベンチャーに投資するジョルゴス・ツェティス氏は、安全上の失敗が被害をもたらした際に経営者を個人的に責任追及できるようにすべきだと呼びかけている。消費者製品には長らく適用されてきた一方、AI業界には存在しない基準だと同氏は主張する。
2026年10月17日にFortuneが掲載したコラムの中で、ツェティス氏は約10年間にわたりNutrafolを率い、同社が販売したサプリメントが害を及ぼした場合、道徳的にだけでなく法的にも責任を負っていたと振り返る。「それは夜も眠れないほどの重圧だった。しかしそれは良いことだった」と同氏は書き、個人の法的責任を、経営者に製品の安全性を真剣に受け止めさせ、消費者の信頼を与える「強力なツール」と表現する。対照的に、こうした責任負担は「現状、AI企業の経営者を眠れなくするものではない。そうあるべきだ」と述べる。
ツェティス氏は、責任負担の新たな層の追加がイノベーションを阻害すると考える人もいることを認めつつ、自身がNutrafolを彼の言う数十億ドル規模の企業へと成長させた経験は逆を示していると述べる。サプリメント業界では法律上、経営責任者が自社製品の安全性について個人的に責任を負うことが長く求められており、同氏はこの責任負担こそがビジネスの成功に必要な消費者の信頼構築に不可欠だったとしている。
現在、ツェティス氏は新たな投資モデル「Great Things™」および自身のファミリーオフィスを通じて、AIおよびAI活用企業に投資している。投資先には、AnthropicxAIといったフロンティアAI企業、Positron AIなどのインフラ・コンピュート関連企業、AIによる発見の加速を手がけるLilaなどの科学・ヘルスケアプラットフォームが含まれる。同氏は、これらの企業の成功を願って資金を提供しており、安全に使用されればAIは人類の最も困難な問題の解決に役立つと信じていると語る。
しかし、AIイノベーションを可能にするエコシステムの一員である投資家として、ツェティス氏はある欠落に気づいたという。それは「個人の法的責任」だ。現在、経営者は企業の後ろに守られており、不正や過失に対する法人への金銭的制裁は売上高や企業価値の一部にとどまることが多い——「単なる経費の一行」だと。「法人の枠にとどまる責任は責任ではない。それは経費だ」と同氏は書く。一方で、AI企業の経営者は、自らの過ちが公衆を危険にさらしても個人としては何も失わずに、数十億ドルの利益を得る決定を下せる。同氏はこの非対称性を正当化できないとする。
ツェティス氏は、AIに関するルールが急速に進化していると指摘する。米国各州が独自のAI法を導入しており、連邦議会はフロンティアAI企業に安全要件を課す法案を検討している。これらの連邦法案がまだ固まりつつある段階にある中、新たな規制の姿は州の措置と未成立の国家ルールが併存する形であり、そのコラムの中心にある問い——AIシステムが失敗したとき、具体的に誰が責任を負うのか——は未解決のままとなっている。9月末には、大手AI企業数社の経営者がホワイトハウスを訪れ、内部リスク管理、独立監査、安全性の取締役会レベルの監督を約束する合意文書に署名した。同氏は、主要ラボが公表している安全フレームワークとともに、これらの取り組みを歓迎する一方、フレームワークも合意も自主的なものであり、「AIに関して、自主的では十分ではない」と強調する。「現時点では、トップの人々を個人的に法的に責任追及する仕組みは存在しない」と付け加える。
その結果生まれているのは、支払うのは主に企業であり、それを率いる人々が支払うことはまれだという法制度だと同氏は主張する。投資家に対して収益を偽ったAI企業の経営者は個人的に責任を問われる可能性がある。しかし、個人の自殺から大規模なサイバー攻撃、地政学的不安定化に至るまでの事態に寄与しかねない決定は、個人的な法的リスクを負うことなく下されている。テック業界はソーシャルメディアでその帰結をすでに経験しており、AIではリスクはさらに大きくなりうるとツェティス氏は言う。
Nutrafolを構築した経験から、個人の責任負担はビジネスの運営方法を変えると同氏は書く。安全チェックリストは何をテストすべきかを教えてくれるが、個人的なリスクにさらされることで、リにない事柄も心配するようになる。その重圧の下で、経営者はチームにリスクを特定させ、テストさせ、問題が顕在化する前に安全対策を講じさせ、問題が上層で揉み消されるのではなく早く自分に届くようにし、たとえ金銭や競争優位がかかっていても減速したり「ノー」と言うことを受け入れる。次に何が起こるかに自らの名前が付いているからだ。
AI経営者への個人の責任負担の要求は大きな一歩であることを認めつつ、ツェティス氏はAIは他のどの業界とも異なると主張する。サプリメントはそれを買うことを選んだ人にのみ届くが、AIは飛行機に乗るときも電気をつけるときも、あらゆる人の生活に組み込まれつつある。「私たちは皆、AIの製品の『顧客』だ」と同氏は書く。AI技術は、電力網から病院、子どもたちが学ぶ教室まで、社会が依存するシステムに組み込まれており、たった一つの障害が都市、国家、あるいはその先に波紋を広げる可能性がある。ほぼ他に類を見ない製品として、AIを開発する人々自身が、いつか人間の制御を逃れる可能性があると警告していると同氏は付け加える。「並外れたリスクには、並外れた説明責任が求められる」。
明確にしておきたいのは、ツェティス氏はAI経営者があらゆる失敗について罰せられるべきだと主張しているわけではないことだ。自身がすべての製品が完璧であると保証できなかったのと同様に、誰もAIシステムの安全性を保証することはできない。しかし、経営者がシステムに重大なリスクがあると知りながらそれを出荷(または公開)する場合、安全チームへの資金提供が不十分だったり警告を無視する場合、あるいは規制当局や公衆から問題を隠す場合には、結果が伴うべきだと同氏は主張する。企業だけでなく、その決定の背後にいる個人に対して。
その責任が民事か刑事かは彼自身が言うべきことではなく、基準をどこに置くか、どの被害を対象とするか、誰が何を監査するかといった問題は、立法者、法律家、技術者、倫理学者が決めることだと同氏は書く。しかし、どのような義務が定められようとも、指名された上級経営者がその履行に個人的に責任を負うべきだと同氏は主張する。「トップの人々がリスクを知っているなら、その次に何をするかには、実際の個人的な利害が伴うべきだ」。米国の議員が最終的に個人の責任を義務法制に盛り込むか否か、またどのような形になるかは、現在動き出している州および連邦の措置が形になっていく中で、注目すべき最も明確な指標の一つとなるだろう。
ツェティス氏は、AIにはすべての人の生活をより良い方向に変える可能性があると信じつつ、その危険性については誰もがそうであるように懸念を共有していると結論づける。個人の法的責任は、安全性への意識を集中させ、公衆の信頼を築き、AI企業の経営者たちが頂点を目指す競争が他のすべての人々の犠牲の上に行われないことを助けると同氏は言う。人間の体内に入る製品を作る人々に長らく適用されてきた基準は、人類の未来そのものを形づくりかねない製品を作る人々にも適用されなければならない、と。
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