商船三井、ケープサイズ船のドライバルク需要の堅調さを見込む
重要ポイント
- •タンカー部門は、中東情勢の緊迫化とホルムズ海峡の閉鎖により原油タンカーおよびLPG船の需給バランスが引き締まったことで、前年同期比で増益を記録した。
- •エネルギー部門は、前期のリファイナンスに伴う特別利益の反動減およびガスインフラセグメントの契約終了により、前年同期比で減益となった。
- •商船三井は2026年10月頃に限定的な航路数でペルシャ湾の航行が再開され、2027年1月頃には紛争前の水準に回復すると見込んでいる。
- •ドライバルク部門は、鉄鉱石出荷に伴うケープサイズ船の堅調な需要と新造船竣工数の制限を背景に、前期予想を上回る増益を見込んでいる。
- •2026年6月30日現在、総資産は2,401億円増の6兆2,024億円となった。主に船舶の増加による。

商船三井、ケープサイズ船のドライバルク需要の堅調さを見込む
ドライバルク市場、国際海運ニュース | 2026/08/08
業績ハイライト:2026年6月30日を期末とする第1四半期
商船三井は、原油タンカー市場において、中東情勢の悪化とホルムズ海峡の事実上の閉鎖に伴う中東産積荷の代替調達によるトンマイルの増加および有効船舶供給量の減少により、需給バランスが引き締まり、市況が改善したと発表した。市況は前期水準を上回った。
LPG船市場においても、中東産積荷の積み込み障害に伴う北米産積荷への需要シフト、およびパナマ運河の混雑を背景に、需給バランスが引き締まった。市況は同様に前期水準を上回った。
これにより、タンカー部門は前期比で増益となった。
FPSO事業は、既存の長期傭船契約から安定した利益を引き続き確保した。また、持分法適用会社であるMODEC, Inc.のFPSO建設プロジェクトの着実な進捗により、前年同期比で増益となった。
一方、LNG・エタン船部門は、前期に既存プロジェクトのリファイナンスに伴う一時的利益が計上されていた反動により、前年同期比で減益となった。ガスインフラ部門も契約終了等を要因に減少を記録した。これにより、エネルギー部門は前年同期比で減益となった。
ケミカル物流部門
メタノールタンカーおよびプロダクトタンカー事業では、持分法適用会社であるWaterfront Shipping Limitedが引き続き堅調に推移したことにより、収益が増加した。また、中東情勢の悪化により米国積みの積荷が増加し、一時的に船舶需給が引き締まり、堅調な市況を支えた。
ケミカルタンカー事業では、米国関税および中東情勢の影響により各積出港からの貨物量に変動が生じた。しかし、4月以降の運賃上昇により収益は改善し、米国メキシコ湾沿岸積みの市況改善を反映した。また、連結子会社であるMOL Chemical Tankers Pte. Ltd.の事業年度末変更の影響により、2026年1月1日から6月30日までの6か月の会計期間となったため、前年同期比で収益が増加した。
タンクターミナル事業では、LBC Tank Terminals Group Holding Netherlands Coöperatief U.A.の株式取得に伴うのれん償却およびその他費用の負担が継続したものの、業績は安定して推移した。中東情勢の緊迫化に伴う米国からの石油製品および化学品の輸出需要増加に支えられた。
製品輸送部門
コンテナ船事業では、5月以降、主にアジア発北米・欧州向けルートの強力な貨物需要を背景に運賃が上昇した。しかし、持分法適用会社であるOcean Network Express Pte. Ltd.は、中東情勢に起因する燃料費高騰の影響により、前期比で減益を記録した。
国内コンテナターミナルの取扱量は概ね堅調に推移した。
自動車輸送需要は堅調に推移したものの、前期比で減益となった。商船三井は、ホルムズ海峡の閉鎖に伴うペルシャ湾航路への船舶配船の停止、燃料費高騰、および一部港湾の混雑による船舶配船制限を要因として挙げた。
海外コンテナターミナル事業では、中東情勢に起因する燃料費高騰が業績の重しとなったが、取扱量は堅調に推移した。米中貿易摩擦を背景にサプライチェーンの一部がベトナムに移転したことにより、ベトナムの輸出入貨物量が増加した。
物流事業では、中東情勢によるサプライチェーンへの影響が継続し、航空および海上貨物の取扱量は前期水準を下回った。全体として、製品輸送部門は前年同期比で減益となった。
ウェルビーイング&ライフスタイル部門
グループの不動産事業の中核であるダイビル株式会社は、前期比で増益を記録した。同事績は、オフィス・商業施設ポートフォリオからの堅調な収益と、新たに取得した物件(英国のCapital HouseおよびWarwick Court)からの収益貢献に支えられた。
MOL Sunflower Ltd.では、荒天による航海回数の減少、貨物不調に伴う貨物量の減少、および燃料費高騰により、前年同期比で減益となった。
MOL Cruises, Ltd.も、MITSUI OCEAN FUJIの需要獲得に時間を要しているため、前年同期比で減益となった。それでも、ウェルビーイング&ライフスタイル部門全体では前期比で増益となった。
その他事業
タグボート事業は、堅調な稼働に支えられ、前期比で増益を記録した。船舶運航、船舶管理、金融等のその他事業も増益となった。
2026年度見通し
商船三井は、2026年8月3日に発表された「2027年3月期通期業績予想の修正に関するお知らせ」における修正から、現在の予想に変更はないとした。
同社は、各セグメントの見通しをいくつかの前提に基づいて策定したとしている。ペルシャ湾では、2026年10月頃に限定的な航路数ではあるが西回り・東回りの航行が再開されると見込まれており、2027年1月頃には紛争前の水準に回復すると期待されている。紅海の航行は通期にわたり不可用な状態が続くと見込まれている。
ドライバルク部門
ケープサイズ船については、西オーストラリアおよびブラジルからの鉄鉱石、ならびに西アフリカからのボーキサイトおよび鉄鉱石の出荷に支えられ、貨物動向は堅調に推移すると見込まれる。新造船の竣工数は限定的に留まると予想され、市況は堅調に維持されると見込まれる。ケープサイズ航路は長距離の鉄鉱石フローへの依存度が高く、鉱山輸出量や船隊供給の変化が運賃の利用可能性に迅速に影響を与えうるため、この点は重要である。
パナマックスおよびそれ以下のサイズの散貨船については、石炭、穀物、鉄鋼製品の堅調な動向に支えられ、市況も堅調に維持されると見込まれる。同社は中東情勢およびパナマ運河の混雑による影響の可能性について懸念を示した。
オープンハッチ船事業では、主要貨物であるパルプおよびプロジェクト貨物の輸送需要は引き続き堅調に推移すると見込まれる。これにより、ドライバルク部門は前期予想を上回る増益を見込んでいる。
エネルギー部門
原油タンカーについては、中東の不安定な情勢を背景に南北米等からの代替調達が継続し、トンマイルは高水準に留まると見込まれる。中東情勢が緩和し新造船の竣工により有効供給が増加すれば市況は徐々に正常化すると予想されるが、引き続き堅調に推移すると見込まれる。
LPG船については、原油タンカーと同様に、中東情勢の不安定さを背景に北米産積荷への需要シフトが継続し、トンマイルは高水準に留まると見込まれる。パナマ運河の混雑が継続することで需給の引き締まりが支えられ、市況は堅調に推移すると見込まれる。
オフショア事業は、既存の長期傭船契約から引き続き安定した利益を確保すると見込まれる。
LNG・エタン船部門は、既存の長期傭船契約の継続および新規契約の開始を通じて、安定した利益を維持すると見込まれる。
ガスインフラ部門は、既存プロジェクトの安定的な稼働に支えられ、収益は前期予想と同等水準になると見込まれる。
全体として、エネルギー部門は前期予想を上回る増益を見込んでいる。
ケミカル物流部門
プロダクトタンカー事業では、中東の継続的な不安定さにより市況の不確実性が続くと見込まれるが、中期契約に支えられ、業績は堅調に推移すると見込まれる。
メタノールタンカー事業では、既存の長期傭船契約に基づき、安定的な収益が継続すると見込まれる。
ケミカルタンカー事業では、中東情勢の悪化に起因する航路制限等の影響が継続すると見込まれるが、代替航路として需要が増加している米国輸出の市況改善に支えられ、前期予想を上回る利益が見込まれる。
タンクターミナル事業では、LBC Tank Terminals Group Holding Netherlands Coöperatief U.A.の株式取得に伴うのれん償却が継続するが、堅調な貯蔵需要および既存の長期顧客契約に支えられ、業績は安定して推移すると見込まれる。
ケミカル物流部門は前期予想を上回る増益を見込んでいる。
製品輸送部門
コンテナ船事業では、中東情勢に起因する不安定さによる高燃料費の継続が見込まれるが、強力な貨物需要に支えられた運賃上昇により、前期予想を上回る増益が見込まれる。国内コンテナターミナルの取扱量は堅調に推移すると見込まれる。
自動車輸送事業では、ホルムズ海峡の閉鎖が船舶配船計画に影響を与えると見込まれる。同社は自動車販売および政治・経済状況を注視し、堅調な輸送需要に対応するため柔軟な船舶配船により効率的な運営を行うとしている。
海外コンテナターミナル事業では、商船三井は残りのターミナル会社の株式譲渡を継続する計画である。中東情勢に起因する高燃料費が利益の重しとなる一方で、堅調な取扱量に支えられ、前期予想を上回る収益改善が見込まれる。
物流事業では、中東情勢を含む地政学リスクおよび一部海外地域の需要回復の遅れが継続すると見込まれる。同社は商品価格および燃料価格の変動に伴うコスト上昇を価格転嫁する等の施策を通じて、業績改善に努めるとしている。
製品輸送部門は前期予想を上回る増益を見込んでいる。
ウェルビーイング&ライフスタイル部門
不動産事業では、ダイビル株式会社がオフィス・商業施設の既存ポートフォリオからの堅調な利益に加え、前期に取得した物件(英国のCapital HouseおよびWarwick Court)、インドのAtrium Placeの完工による収益貢献、および日本国内外のキャピタルゲイン投資からの収益を引き続き確保すると見込まれる。
フェリーおよび沿海RoRo船事業は、堅調な国内貨物・旅客需要に支えられ、一定水準の利益を確保すると見込まれる。中東情勢に起因する燃料費高騰が一時的に収益の重しとなっているが、同社は需要動向を注視しながら、燃料費の変動を運賃等に適切に反映させることで、業績改善に継続的に取り組むとしている。
クルーズ事業は、1隻運航から2隻運航への移行期間にある。マーケティングおよび販売促進活動に時間を要しており、利益は前期予想を下回ると見込まれる。
ウェルビーイング&ライフスタイル部門全体では、前期予想を下回る減益を見込んでいる。
関連事業
タグボート事業および貿易事業等を含む関連事業は、堅調な収益を確保し、前期予想を上回る増益を見込んでいる。
財政状態
2026年6月30日現在、総資産は前期末比2,401億円増の6兆2,024億円となった。主に船舶の増加による。
総負債は1,332億円増の3兆1,664億円となった。主に長期銀行借入金の増加による。
純資産は1,068億円増の3兆0,359億円となった。主に為替換算調整勘定の増加による。
これにより、自己資本比率は前期末比0.2ポイント低下の48.0%となった。
出典:商船三井 tweet