米連邦判事、司法省の分割要求を棄却しGoogleはAdXを維持
重要ポイント
- •レオニー・ブリンケマ判事は、4月の責任認定にもかかわらず、司法省の提案した構造的救济措置を棄却し、Googleに広告取引所AdXの売却を命じなかった。
- •判事は命令を14日間封印したため、AdXの運営を規律する行動是正措置の内容は約2週間わからない。
- •司法省が売却させようとした広告技術部門は、提訴時点でAlphabet収益の約12%を占めていた。
- •Meta案件とGoogle検索案件に続き、米法院が大手テック企業の分割を拒否した3例目の事例である。
- •Googleは責任認定を控訴している。一方、EU規制当局は35億ドルの広告技術罰金を含む100億ドル超の独禁法罰金をGoogleに科してきた。

米連邦判事は水曜、Googleにオンライン広告取引所の売却を強制する請求を棄却し、司法省が求めた最も厳しい制裁を免れさせるとともに、実体的審理ですでに敗訴していたAlphabetに救济段階での決定的な勝利をもたらしました。
GoogleはAdXを維持
バージニア州アレクサンドリアの連邦地方裁判所、レオニー・ブリンケマ判事は、パブリッシャーが広告枠を売る即時オークションを行う取引所AdXの所有権を手放すよう求める政府の請求を棄却しました。パブリッシャーはこの売上の20%をGoogleに支払っています。
この20%の取り分は、本件が法廷外でも重要である理由の中心にあります。同取引所は、パブリッシャー向け広告サーバー、取引所、広告主側の購買ツールという一連の道具の一部であり、Googleは同一のリアルタイム・オークションの双方の側を運営しています。パブリッシャーは長年、この構造がGoogleに競争相手ではあり得ない情報面・価格面の優位を与えていると訴えてきました。
司法省は、強制売却こそ競争を回復する最も確実な手段だと主張しました。Googleはこれに反論し、取引所の売却は技術的に煩雑であり、顧客を長期で苦痛の伴う移行に置き去りにすると述べました。同社はまた、欧州の規制当局との和解交渉で以前にAdXの売却を提案していたことを法廷に伝え、司法省版の救济措置は行き過ぎだと主張しました。
ブリンケマ判事は双方が修正を請求できるよう命令を14日間封印しました。このため、判事が科す予定の具体的な行動是正措置は約2週間、公開されないままとなります。売却ではなく行動是正措置の内容こそが現在の最大の未解決の問題であり、AdXの日々の運営でGoogleが実際に何を変えなければならないかを定めることになります。
有罪評決と軟着陸
本件は2023年に連邦政府と州連合によって提訴され、Googleがパブリッシャーの広告配信ソフトウェアおよび広告の買い手と売り手をつなぐ取引所において違法に独占を維持したと訴えました。各州は、Googleが広告サーバーを通じてパブリッシャーをAdXに閉じ込めたと主張しました。
4月、裁判所はGoogleが広告技術市場で米独禁法に違反した責任を認めました。ただし、Googleがパブリッシャーを広告取引所に違法に拘束したことは認めつつも、広告主向けに構築したツールで違法行為があったとは認めませんでした。司法省が売却させようとしたネットワーク部門は、提訴時点でAlphabet収益の約12%を占めていました。
Googleの規制担当バイスプレジデント、リー=アン・マルホランド氏は「小規模事業者が新規顧客にリーチして成長するのを助けるツールを分割するという司法省の提案を裁判所が棄却したことを大変喜んでいる」と述べました。Googleは責任認定について別途控訴しており、構造的脅威は当面去ったものの、法的闘争は続いています。
3つの大型案件、構造的変化はほぼなし
これは、大手テクノロジー企業の分割を試みる米国の試みを裁判所が却下する3例目です。昨年、ワシントンの判事はFTCによるMetaへのInstagramとWhatsAppの強制売却請求を棄却し、FTCがソーシャルメディア独占を立証できなかったと判断しました。
Google自身の検索案件では、別の判事がChromeブラウザの売却強制を拒否し、代わりに検索データの共有やパートナーへのアプリ同梱要求の禁止を命じました。売却ではなく行動制限というこの結果は、広告技術判決にも示されたのと同じ救济哲学であり、責任を認定した後ですら米法院が分割命令を最後の手段と見ていることを示唆しています。
この傾向は、大手テックの支配力を抑制する司法の能力に疑問を投げかけています。Googleはこの法的不確実性の時期をほぼ無傷で切り抜け、AI分野での新たなポジション構築に集中できるように見えます。現在の司法省が同社の妨げに立つ意欲はほとんど示していません。
米国のこの姿勢は、欧州と比べると極めて寛容に見えます。EUの規制当局は近年、Googleに100億ドル超の独禁法罰金を科してきました。昨年9月の35億ドルの広告技術罰金、2019年の17億ドルの広告技術罰金、2022年に維持された40億ドルのモバイル罰金、2017年の27億ドルの検索罰金などが含まれます。
パブリッシャーと競合する広告技術企業にとって、注目すべき当面の節目は、約2週間後のブリンケマ判事の行動是正措置の公開、Googleの責任認定に対する控訴、そしてEUの広告技術への厳しい姿勢が、米法院が国内で命じなかった売却を欧州でGoogleに促すかどうかです。
本報道はウォール・ストリート・ジャーナルおよびAxiosに基づいています。