ニュースマクロ米FRDのバウマン監督副主席、コミュニティバンク・サイバーワークショップの開幕でAI活用による脅威の急増を警告

米FRDのバウマン監督副主席、コミュニティバンク・サイバーワークショップの開幕でAI活用による脅威の急増を警告

著者: Federal Reserve - Speeches·

重要ポイント

  • •バウマン米FRB監督副主席は2026年9月29日、デンバーで開催された2026年コミュニティバンク・サイバーワークショップの開幕にあたり、脅威アクターによるAIの利用可能性の高まりに伴い、サイバー脅威の状況が指数関数的に進化していると警告した。
  • •バウマン氏は、過去1年間に複数のコミュニティバンクが重大なサイバーインシデントを経験したと述べ、最新の資産インベントリ、フィッシング耐性のある多要素認証、パッチ管理、従業員研修といったサイバーハイジーンの必要性を強調した。
  • •同氏はAIを、防御の強化にもなり得る一方で、脆弱性特定の加速、高度なソーシャルエンジニアリング、犯罪者への参入障壁の低下、攻撃のリアルタイム適応を可能にする双用途技術であると説明した。
  • •バウマン氏は、小規模金融機関向けのケーススタディを含むFSBの2026年6月10日付責任あるAI導入に関する健全な実務の報告書に言及し、小規模銀行への期待の明確化について意見を歓迎すると述べた。
  • •規制当局は各機関のリスクプロファイルに応じたIT検査の調整を継続するものであり、バウマン氏は、サイバー対応力にはステークホルダーとの協力、継続的な教育、従業員と顧客への支援が必要であると強調した。
米FRDのバウマン監督副主席、コミュニティバンク・サイバーワークショップの開幕でAI活用による脅威の急増を警告

米連邦準備制度理事会のバウマン監督副主席は2026年9月29日、コロラド州デンバーで開催された2026年コミュニティバンク・サイバーワークショップの開幕にあたり、人工知能(AI)が脅威の状況を変えるなか、コミュニティバンクに対してサイバー防御の強化を促した。同氏の講演は、シカゴ、カンザスシティ、セントルイス、ミネアポリス、サンフランシスコの各連邦準備銀行が主催する年次イベントで、事前収録のビデオを通じて行われた。

バウマン氏は「おはようございます。2026年コミュニティバンク・サイバーワークショップへようこそ」と述べ、年次イベントに再び参加できることを喜ばしく思うと付け加えた。「サイバー環境が複雑化するなか、このようなイベントを通じて、こうした課題に対処する進化するアプローチについての議論を続けることができます」

バウマン氏は、過去1年間に多くのコミュニティバンクが重大なサイバーインシデントを経験しており、これはサイバーハイジーン(衛生管理)とレジリエンス(回復力)の重要性を浮き彫りにしていると指摘した。同ワークショップは、コミュニティバンクが潜在的なサイバー障害に備えるための実践的な情報を提供するもので、規制当局者、銀行家、法執行機関、業界専門家を集め、サイバーおよびITリスク管理に関する議論を前進させるという。

サイバー・ITリスクに関する2日間のプログラム

イベントの2日間を通じて、参加者はサイバーセキュリティの机上演習を通じて貴重な視点を得るとともに、AIがサイバー防御を強化できる仕組みとそれに伴う潜在的リスクについて検討し、サイバー金融犯罪を調査する連邦機関である米シークレットサービスや、連邦準備制度のサイバーセキュリティ分析支援チームによる講演を聞く予定だ。また、金融機関向けの標準化されたサイバーセキュリティ評価フレームワークを維持するCyber Risk Instituteの関係者を含め、検査官、コミュニティバンクの銀行家、業界専門家とのより深い交流も行われる。

脅威の状況を変えるAI

講演の中でバウマン氏は、サイバー脅威の状況が「指数関数的に進化」していると述べた。銀行はランサムウェア、ビジネスメール欺、ベンダーのデータ漏えいなど、数多くのリスクに引き続き直面している一方で、脅威アクターによるAIの利用可能性の高まりと利用の拡大が、リスク環境に複雑さをもたらしているという。

バウマン氏によれば、AIは脅威アクターにとっても、こうした脅威への防御を強化する者にとっても、大きな潜在力を持つ。この技術は、脆弱性の特定を加速させ、高度なソーシャルエンジニアリング攻撃を生み出し、サイバー犯罪者への参入障壁を下げ、攻撃の実行中にリアルタイムで適応させる能力を持つ。防御を強化できるのと同じ能力が攻撃者をも強化しうるというこの双用途の特性により、AIは監督当局の議題の中心に位置づけられつつあり、バウマン氏が後に言及した国際的な取り組みがその点を裏付けている。

これらの変化は銀行に明確な影響を与えており、銀行はサイバー防御の戦略と戦術を絶えず進化させ続けなければならないと同氏は述べた。

基本に立ち返る:サイバーハイジーン

これらのリスクへの対処は、強固なサイバーハイジーンから始まるとバウマン氏は述べ、最新の資産インベントリ、フィッシング耐性のある多要素認証、強固なIDおよびアクセス管理、堅牢な脆弱性特定とパッチ管理プログラムを挙げた。さらに、包括的な従業員研修とインシデント対応プログラムの定期的なテストも必要だと付け加えた。

同氏によれば、AIは防御ツールとしてだけでなく、進化するリスクとしても、こうしたセキュリティ対策の重要な構成要素になりつつある。ワークショップ参加者の多くはすでに、こうした目的でAIを安全かつ戦略的に展開する方法を検討しているという。AIをいつ、どこで、どのように適切に使用するかを理解することが、イノベーションと健全なリスク管理のバランスを取るうえで不可欠だと述べた。

責任あるAI導入に関するFSB報告書

バウマン氏は、このテーマに関する最近の国際的な取り組みにも言及した。この夏、同氏が議長を務める監督・規制協力常設委員会の下で、主要管轄区域における金融規制・監督基準を調整する国際機関である金融安定理事会(FSB)が、責任ある人工知能(AI)導入のための健全な実務に関する報告書を公表した。2026年6月10日付のこの報告書は、金融機関がこの技術の導入と利用を検討する際のいくつかの実務を提示している。

同氏は、報告書に記載されたケーススタディの一部が小規模金融機関を対象としていたことに触れ、小規模銀行への期待の明確化を改善し続ける方法について銀行からの意見を歓迎すると述べた。小規模機関におけるAI利用をめぐる監督上の期待がまだ形成途上にあることを示唆する発言だ。

ガバナンスとテーラーメイドの監督

サイバーセキュリティには、取締役会および上級経営陣による先手を打ったリスク管理に加え、機関のリスクと複雑性に見合った人材、プロセス、技術への戦略的投資が必要だとバウマン氏は述べた。規制当局は、これコミュニティバンクにとって負担であり課題であることを認識しており、だからこそ、各機関のリスクプロファイルや新たな脅威・リスクを考慮したIT検査のアプローチへの調整を続けているという。

さらに同氏は、今年のワークショップはサイバーリスク対策に必要なリソースを特定しコミュニティバンクに提供するという連邦準備制度の継続的なコミットメントを示すものだと述べた。

協力こそが核心

締めくくりにバウマン氏は、サイバー対応力は技術だけでは構築できないと強調した。内部および外部のステークホルダーとの協力、継続的な教育・研修、そして最前線に立つ従業員と顧客への支援が必要だという。

同氏は、今年のイベントの開催に関わった5つの連邦準備銀行に再び感謝を述べ、議論の枠組みとなる一言を贈った。「サイバーレジリエンスは、強固なサイバーセキュリティの基盤の上に、一歩ずつ強化しながら築き上げられるものです」

講演の脚注でバウマン氏は、表明した見解は自身のものであり、連邦準備制度理事会や連邦公開市場委員会(FOMC)の同僚の見解を必ずしも反映するものではないと述べた。

講演の全文は連邦準備制度理事会のウェブサイトで閲覧できる。