日常支出の伸びがCPIを上回り、最終需要PPIはさらに急上昇―Econbrowser分析
重要ポイント
- •AIERのEveryday Price Indexは、2026年2月以降、頻繁に購入される財・サービスの価格が総合CPIよりも速く上昇していることを裏付けている。
- •消費者物価指数にはそれぞれ異なる政策的役割がある。賃金・事務職労働者向けCPIは歴史的に社会保障の生活費調整(COLA)の基礎とされ、連鎖CPIは2018年以降、連邦所得税の所得課税区分のインデックス調整に用いられてきた。
- •生産・非管理職労働者の実質時給は、5つの生活コスト指標のどれをデフレーターとして用いるかによって測定値が異なる。
- •最終需要生産者物価指数(PPI)はCPIを大幅に上回るペースで上昇しており、燃料および関連製品が生産者物価の上昇を牽引している。
- •筆者はPPIがCPIに先行すると見ており、両指数の今後のBLS月次発表によって乖離が拡大するか縮小するかが明らかになる。

Econbrowserで2026年10月15日に公開された分析は、幅広い消費者物価指標を検証し、2026年2月以降、日常の支出コストが総合消費者物価指数(CPI)よりも速く上昇している一方、生産者段階の物価はさらに大幅に上昇していることを突き止めた。
この記事は、労働統計局(BLS)とアメリカ経済研究所(AIER)のデータに加えて筆者自身の計算に基づいており、生活コスト指標、物価調整済み賃金、生産者物価を対象とする3組の比較を提示している。
複数の消費者物価指標
図1:CPI-全都市消費者(黒)、賃金・事務職労働者向けCPI(紫)、連鎖CPI(ライトグリーン)、住居除くCPI(青)、AIER Everyday Price Index(赤)、すべて対数表示、2025年1月=0。出典:BLS、AIER、筆者の計算。
最初の図は、2025年1月を基準(100)として対数スケールで5つの消費者物価指標を追跡している:全都市消費者向けCPI、賃金・事務職労働者を対象とする姉妹指標のCPI、相対価格の変化に応じた消費者の代替を調整する連鎖CPI、住居を除くCPI、そしてAIERのEveryday Price Index(EPI)である。
筆者によれば、2月以降、日常の支出がCPIよりも速く上昇していると感じている人にとって、その印象はEPIによって裏付けられるという。AIERの指数は、大型家電や自動車などの不定期な支出とは対照的に、家庭が頻繁かつ継続的に購入する財・サービスの価格を捉えるよう設計されている。
これらの指標の違いは単なる学術的なものではない。賃金・事務職労働者向け指数は歴史的に社会保障の生活費調整(COLA)の基礎とされており、連鎖CPIは2018年以降、連邦所得税の所得課税区分のインデックス調整に用いられてきた。一方、住居を除くCPIは総合指数の約3分の1を占める住居カテゴリーを除外し、住宅以外の品目の価格動向を切り出している。
異なるデフレーター下での実質賃金
図2:生産・非管理職労働者の平均時給をCPI-全都市消費者(黒)、賃金・事務職労働者向けCPI(紫)、連鎖CPI(ライトグリーン)、住居除くCPI(青)、AIER Everyday Price Index(赤)で調整、すべて2025年ドル表示。出典:BLS、AIER、筆者の計算。
2番目の図は、生産・非管理職労働者の平均時給――一般従業員の賃金の代理指標として頻繁に参照されるBLSの注目度の高い系列――を5つの物価指標のそれぞれで調整し、2025年ドルで表したものであるこの比較は、どの生活コスト指標をデフレーターとして適用するかによって、測定される実質時給が異なることを示している。給付計算式や契約のスライド条項は特定の指数に連動していることが多いため、デフレーターの選択は賃金の伸びと生活コストの比較に影響を及ぼしうる。
CPIを大きく上回るペースで上昇する生産者物価
図3:CPI(青)、最終需要PPI(赤)、いずれも対数表示、2026年2月=0。出典:BLS。
3番目の図は、CPIと最終需要生産者物価指数(PPI)を、2026年2月を基準とした対数スケールで比較している。筆者は、最終需要PPIがCPIを大幅に上回るペースで上昇していると指摘する。最終需要PPIは、最終産出物として販売される財・サービス・建設について国内生産者が受け取る価格を測定するもので、経済におけるコスト圧力の上流指標として広く注目されている。
生産者物価の上昇を「燃料および関連製品」が牽引していることについて、筆者は「PPIがCPIに先行することはほぼ確実だ」と述べている(この記事を参照)。両指数の今後のBLS月次発表により、両者の乖離が拡大するか縮小するかが明らかになる。